25認知科学概論

25年度認知科学概論 / 253

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Q25003 2026/01/25 (日) 14:48:20 4ba27@c1b71

【課題4】
通常、「学習」や「スキルの習得」は、脳の中に新しい知識や手順をデータとして書き込み、蓄積していく作業だと考えられている。バドミントンの練習にしても、脳が筋肉に送る「ラケットを振る指令」のプログラムを書き換えるプロセスだと思われがちだ。しかし、これを生態心理学の観点で説明し直すと、学習とは脳内のデータ蓄積ではなく、「環境の中にある情報を拾い上げる能力の教育」であると言える。
例えば、バドミントンの初心者が上達していく過程を考えてみる。初心者は、飛んでくるシャトルの速さに圧倒され、どこに注目すべきかが分からず空振りしてしまう。しかし、練習を重ねるうちに、相手の肩の入り方やラケットの面の向き、シャトルが放たれた瞬間のわずかな角度といった、次に自分がどう動くべきかを教えてくれる「アフォーダンス」を正確にピックアップできるようになっていく。
つまり、学習の本質は、脳が筋肉への命令を暗記することではない。「コートという環境の中に溢れている膨大な情報の中から、自分にとって次の動作に繋がる意味のある情報を、より細かく、より素早く見つけ出せるようになること」なのだ。これをギブソンは「知覚の分節化」と呼んだ。
このように学習を捉え直すと、練習とは「脳に覚え込ませる作業」ではなく、「世界をより豊かに、より詳細に感じるための感度を磨くプロセス」だということになる。上手い選手ほど「シャトルがゆっくり見える」と言うことがあるが、それは脳が速くなったのではなく、知覚が研ぎ澄まされ、動くための情報を余裕を持って拾えているからだと解釈できる。この視点は、単なる反復練習とは違う、人間が上達していく際の「世界の見え方の変化」を鮮やかに示していると感じる。

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