02-11 快適な空間を演出
「俺もお前なんか知らないぞ!」
「おっちゃん、モノと何張り合ってるのよ」
いかんな。いつもの冷静な自分を取り戻さなきゃ。
平常心。平常心。
「ショユウシャ トウロク シマスカ?」
「所有者登録?するする!」
ガチャから出てきたんだから俺のだ!俺のだよね?
「完了しました。お入りください」
「はやっ!」
所有者登録が終わったらしい。網膜とかオーラとか何かしら俺を識別するものをスキャンしたんだろう。そういうことにしておいてくれ。
さてではお待たせしました!
「ちょこん選手の入場です!」
「いいから早く乗ろうよ」
こういうのはね、雰囲気が大事なんだよ。
いいよね。新しいモノって。古いのも味があって好きだけど。最初のこの瞬間がたまらないよね。
ドアを開け、車内に入るとそこは……
「ほほう!」
「ほぇー」
テーブルを挟み、ゆったりとは言えないが二人かけの椅子が並ぶ。
いわゆる電車のボックス席ってやつだな。
助手席の後ろから横向きのソファー。こちらは普通の電車と同じシートと思ってくれ。
ただ、すわり心地は快適だぞ!
「お!キッチンを見ろ!」
「なになに?」
コンロが三つある!狭いのに!三つあるよ!
「へー竈みたいなもん?」
「そうそう。こりゃパスタを茹でながら、ソース、副菜まで一片にできるぞ!」
「ふーん、おっちゃん料理出来るの?」
「おう。伊達に独り暮らしは長くないからな」
神の舌を持つ俺は、グルメが高じて食べたものを自分で再現したくなった。
だが、このお話はグルメシリーズではないため、恐らくは料理シーンもこだわりの調理法も一切出てこないんだろう。
いや、かなり長くなるからそれはいいんだが……
「おっちゃん、また一人で考えごとしとるよ」
「いかん。色々妄想が捗ってしまった」
キッチンをざっと説明すると、コンロにシンク、お?お湯まで出るのか!
電子レンジに食洗機、冷蔵庫までついとる。
本格的とまでは言わないが、ちょっと贅沢すぎないか?
「おっちゃん、これって何?」
「うぉぉぉ!」
ありましたよ!至高の調味料シリーズが!いかーんまた長くなる。
最低限とは言え味付けにはこれでこまらんぞ!
「絹枝」
「なに?」
「早く獲物を見つけよう!野菜も欲しい!米もだ!」
冷蔵庫には要冷蔵の調味料以外何も入っていない。
いや、マヨがあるから最悪これで死ぬことはない。
え?死ぬことはあるって?いいえ、マヨこそ最強。これは譲れない!