プロトタイプ⑦(君で統一)
「うつろい」
君は 私を引き寄せる
近付いてみるのに
あっという間に
弾かれて 放り出され
また 引き寄せられる
吐息さえ届く距離で
わざと宛て先を書き換える
こっちじゃない
君に幸せ 訪れますように
自分ってつまらないと思いながら
君を思う
真っ盛りだったことなどない
地下鉄の迷路に貼ってある
いいちこのポスター
窓からの風
手すりにつかまり足元にご注意ください
僻むものも拝むものも
祟ることのないように
お守りだった鏡はもう割った
目を閉じて触れている手のひらの
やわらかさに甘えよう
驚きに指先が跳ね返っても
手を離さないで浸っている
サッカーコートがぬかるんでいる
センターフォワードの君が
ゴールしたのを思い出す
本当はハイタッチがしたかった
外へ出た
私達は自由だった
風が木蓮の香りを運ぶ
新しい王さまとお妃さまのように
前へ歩きはじめた
空は青かった
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