十二月なのにあつい
安座間からのフェリーに乗って
神の島へと辿り着く
人が巫女となるために
夕神遊びを舞ったとされる
銀輪にまたがり島内を巡る
地図にはあるが地上にはない
彼岸にはあるが此岸にはない
ここはいつしかニライカナイか、と
どこかでわたしの声が聴こえた (クノ)
十二月なのにあつい
神の島に吹く風は厚い
ベンチでひとり酒を飲む男の肌はもう焼けて、空き缶を転がしながら遠くを見ている、
視線を思いだしながら浜辺に立つ
ここは寂しい場所だと思わずにはいられない
ここにきたことを偶然とは思いたくない
くりかえす波の音をきく
ゆっくりと舞う白い砂
光のとける水
揺れるガラス
ニライカナイ
あるかないかは風だけがたよりだと (町田)
風だけを頼りに
海中道路を走っていく
なんだか愉しくなって
青い歯で
スマホとカーオーディオを
噛み合わせたら
聴こえてきたのは
うないぐみの『弥勒世果報』
波ぬ想い 太陽とぅ風ぬ想い
戦世ぬ 哀り知らさ 哀り知らさ
いつの間にか龍神風道
総毛立つ聖なる風の通り道
遠くに見えるのは久高島だろうか
いつの間にか果報バンタ
崖に立てば眼下の海が青一色 (クノ)
果報バンタ
何度目だろう
感傷の鰓がふるえてくる
吹き上げてくる風に泡立つブルー(旅情)
万座毛が波飛沫をあげながら肩に風をのせて歩いてくる
沖縄の風は不思議に熱い息
水銀温度計も波打っている
目をとじて手をかざすと
漂流の記憶が熱を帯びて近づいてくる (町田)
3/6
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