ににんがし

【えんどうけいこ&ユタカB】 / 104

104

触れれば直ちに崩れてしまう
砂上の城にすぎない夢の中で
生死のあわいをたゆたっている

気づけば電車に乗っている
とろけたバターさながらに
昨日と明日、過去と未来を
循環する意識の中で
ときおり神とあいまみえる

自然と口からこぼれた言葉は
ビスケットのかけらのごとく
地表に撒き散らされている
ああ、願わくは
誰かの足に踏まれる前に
啄む鳥の慰みとならんことを

コトバを咥えた鳥は囁く
コトバと囀りの曖昧さに
鳥のクチバシは過去に置き去りにされ
神のカラダの中に溶け込んでいく
神のカラダは紙にコピーされ
滲んだインクの中に
コトバは閉じ込められていく
詩人がA4のコピー用紙に刻まれた
神の詩を読み上げる
紙に書かれた歴史は
書いた者の歴史であり
虚と実のあわいは
コトバをなぶり殺しにしていく
神は閉じ込められて初めて
人の愚かさを知り
詩人は読んで初めて
神の尊さを知り
HEY!Siriと呼び出された
A.I.の曖昧さに人は笑うのだろう

神社ごと火に包まれた
歴史は灰に変わることなく
記憶にぬばたまの影を落とす
コトバを失くしてしまうほど
絶望にまみれた人たちの
声にならない祈りにすら
ときおり神は応えるだろう
光と闇のあわいに目をこらし
文字を再び思い出せ
コトバを再び取り戻せ

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