8章
課題1 状態依存記憶についての補足
学習した時と思い出そうとしている時の精神的状況が似ている方が、よりよく思い出せる。これを状態依存記憶(state-dependent memory)という。例としてしらふで学習したか酔って学習したかの研究がある。実験参加者はその後、同じ状態もしくは異なる状態で記憶テストを受けた。その時、学習時とテスト時で同じ精神状態の方が、記憶成績が良かった。似たような状態依存記憶の効果は、ニコチン、マリファナ、リタリン、有酸素運動による身体的変化でも生じる。
一方、学習時の気分状態(ポジティブやネガティブなど)と思い出そうとする時のそれが同じ方が、記憶が良くなることを気分依存効果(mood-dependent memory)という。
出典:ガブリエル・A・ラドヴァンスキー(2021),記憶の心理学–基礎と応用,誠信書房
教科書ではmood-dependent memoryを状態依存記憶と呼んでいるが、補足情報の通り、正しくは気分依存記憶である。状態依存記憶はstate-dependent memoryで、個人の精神的な状態と記憶の関連についての語句であり、気分や感情と関連する言葉ではない。この教科書の誤りを指摘し、状態依存記憶についての正しい説明と具体例を示すことで教科書理解に役立つと考えたため、この情報を補足した。
課題2
私は、他人を支配したいという感情は二次元では評価できないと考えた。支配したいという感情を二次元のみで考えると、「快・覚醒でも睡眠でもない」となり、教科書の表情の円環図でいうと、満足と同じになる。しかし、満足という感情だけでは、自分の想い通りにしたいという支配欲の特徴を説明できていない。そこで私は「他人からの信頼」という次元を追加する。なぜなら、他人から信頼されず思い通りに動いてくれないと感じた時に支配したいという感情が生じるからだ。もし信頼されていると感じているなら、支配せずともついてきてくれるため、支配したいという感情は少なくなる。
課題1: 気分や感情も精神的状態なのでは? 「状況」には、mental state も含むのでは? 間違いというほどのことではないと思うのですが。
課題2: 「他人を支配したい」感情は、覚醒水準で「ニュートラル」なんでしょうかね。支配したいと強く思うこともあると考えたら、この特定でよいのかと思いました。また支配したいというのは、支配できていないから持つ感情ですよね。そうであれば「快」というより「不快」ではないかと思います。他人に信頼されるかどうかは、支配欲を持つかどうかに関係するのですか。相手が自分をどう思おうが、こちらの思うようにしたいと考える気がします。
4点差し上げます。