第6章
課題1 記憶についての追加情報
短期記憶を保持しているのは、大脳皮質の神経細胞であり、保持している間、神経細胞は活動電位と呼ばれる電気活動を出し続ける。そして記憶が必要なくなれば、活動電位は止まり記憶は失われる。
一方、長期記憶が保持されるのは、多数の神経細胞の構成する神経回路の特性が変化し、その変化が「のこされる」からである。この考えに従えば、記憶の読み出しとは、その記憶細胞によって変化した、回路に埋め込まれていた多数の神経細胞のパターンが再現することである。
海馬などは長期記憶がつくられる過程には関係するが、長期記憶の保持には関係していない。また、脳の一部を破壊しても、長期記憶が完全に消失することはない。したがって、記憶は記憶すべき内容のちがいによって、脳のいろいろな場所に分散してたくわえられていると考えられている。
出典:三上章充(2022),「カラー図解 脳の教科書 はじめての『脳科学』入門」,講談社.
教科書p107では、長期記憶の保持の方法について、2つの考え方を示していた。そのうちの1つに「より分散された形で記憶が保持されている」という考え方が示されていたが、この考え方の説明では、水に溶けたミルクの例えなど、抽象的なものばかりで脳の中のどの働きによって保持されているのかが具体的に述べられていなかったため、この情報を補足した。
課題2
私はサッカーをすると毎回気分が下がり、胸が苦しくなる。というのも、小学4年生のとき、少年サッカーの試合でオウンゴールをしてしまい、チームメイトから強く責められた経験があり、サッカーをするたびにそれを思い出すからである。エピソード記憶とは、特定の日時や場所と関連した個人的経験に関する記憶のことである。したがって、小4の時にオウンゴールをしたことで仲間に強く責められたという記憶はエピソード記憶であり、この経験はエピソード記憶と関係している。
課題1: この情報が「水に溶けたミルク」以上に、「より分散された形で記憶が保持されている」ことを例示していることを明確にしてください。
課題2: よいと思います。
5点差し上げます。