「ヒガルー、ひっかく!」
しかし、たいあたりが命中することはなく、ヒガルーのひっかくによってアオクマは後退させられた。
「っな……」
どうしてたいあたりが当たらなかったのか?
間合いとリーチ、である。
威力はたいあたりの方が高いものの、たいあたりは自分の体それそのものを相手にぶつけなければならないーー比べて、ひっかくは腕を伸ばして攻撃出来る分、リーチが大きい。
「……っ」
つまり……認めたくはないが、現在、私の方が劣勢にあるということだ。
アオクマは技としてのなきごえは使えないーー相手の攻撃の威力を下げることもできない。
まずいーーどうしたらいい。
「……分かんないや」
この世界に、問題という問題は山ほどあるものだけれど……問題に対する回答が、必ずしも存在するってわけじゃあ、ないのかもしれなかったーー例えば、今とか。
もし私とラグナの間に圧倒的な力の差というものがあるのなら、果たして私は簡単にその勝負を放棄できたであろう。
だけど、そうではなく、絶妙に、あるいはゆっくりと気圧されるように、詰めを狙われているような。
とにかく、なんとか打破できそうなところはあるのだ。ただ、『どのようにして打破するのか』という問いに対し、私は答えを出すことができないのである。
無いもんかしらね、答えって。
全ての問題に対し適切な回答を求めるのは、傲慢なのかもしれないーーむしろ、怠慢、か。
っと、いけない。
分からないとはいったもののーー適切じゃあないかもしれないが、一応の答は出ている。
ふう、と息をついてから、私は自分の左胸に付いている、モンスターボールの形をしたバッジを握り締めた。
やれるだけやろうーー足掻けるだけ足掻こう。なにより、負けるのは嫌だし。
「アオクマ、最後まで頑張ろう!」
まあ、結局負けたんだけどね。





