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九次第定では空無辺、識無辺の次に「無所有処」となりますが、菩薩の覚りを得ますと自身の「我」が完全に止滅して自他を分別する心が無くなります。それによって不二の菩薩の境涯に至ります。
菩薩の境涯では、分け隔てのない慈悲の心が自然とあふれ出て他者救済の道へと向かいます。
ここでの意識は第七末那識にありながら自我という濁ったフィルターが取り払われて、今まで見ていた世界がまた別の世界に観えてきます。それまでは前五識を対象として起っていた縁起(此縁性縁起)が、境涯が変わることで阿頼耶識を対象として起こる縁起(相依性縁起)に変わります。縁起の種類が変わることで立ち上がる世界観もおのずと変わります。
例えばそれまでは口うるさくて嫌いで仕方なかったった職場の上司が、その上司のおかげで実は自分自身が気づかないうちに仕事に対する取組みが、以前に比べて格段と向上していた事に気づき、その上司の存在がとても有難く思えて来たりします。
自身の心が変わる事で、物事や人の認識に大きな変化が顕われそれまでの世界観が次第に変わっていきます。
仮諦の覚りで開く一念三千と、空諦の覚りで開く一念三千の違いです。