日米開戦
映画「開戦前夜」は 史実に基いて制作されている、陸軍中将の遺族が 金目当てにクレームをつけている
見出し・・映画「開戦前夜」が声明 ドラマ版の表現巡り遺族が抗議 係争中も「公開予定に変更はございません」
7月31日公開予定の映画「開戦前夜」の公式サイトが11日に更新され、制作委員会による声明が発表された。NHKで放送されたドラマ版の表現をめぐり登場人物のモデルとされる人物の遺族が同局などに訴訟を提起したが、映画の制作委員会は「公開予定に変更はございません」と説明した。
同作は、昨年8月に放送されたNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパートを映画化したもの。猪瀬直樹氏のノンフィクションが原案で、日米開戦直前に設立された「総力戦研究所」が舞台。研究所では「圧倒的な敗北」とシミュレーション結果を出したが、所長の陸軍中将が結論を覆すよう圧力をかける人物として描かれた。実際は、自由な議論を後押ししたとされる。
この表現に、所長の孫で、元外交官の男性は「歴史がゆがめられ、祖父の人格を毀損(きそん)するような描き方をされた」と抗議。遺族側がBPOに審議入りなどを求める要望書を提出していた。その後、遺族側はNHKなどに対し、損害賠償を求める訴えを東京地裁に提起した。
映画の制作委員会は「本作ドラマ版(NHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパート)に関する訴訟の原告は、メディア等を通じ、本作を 「故人(原告の祖父)の名誉毀損」「歴史捏造」「史実歪曲」等の強い表現で批判しています。しかしながら、これらは原告の一方的な見解に基づくものであり、本製作委員会として断じて受け入れることはできません」と強調。
「私たちは、原告が故人について大切にされている人物像やご心情を軽んじるつもりはありません。これまでも、原告のご懸念を真摯に受け止め、本作の登場人物が原告の祖父であると同定されないよう、複数回にわたり原告との間で対策について協議を重ねたうえで、フィクションであることの明示や誤解防止のための表示・説明など、必要な対応を行ってまいりました。映画版においても、誤解を避けるための措置を講じております」と、映像化に際し、原告に説明を重ねていたと強調した。
「本作は、特定の人物の評伝でも顕彰作品でもありません。また、特定の人物を貶めることを目的とした作品でもありません。描こうとしているのは、敗戦を予測する合理的な知がありながら、なぜ国家が開戦を止められなかったのかという、当時の社会の空気です。原告の祖父は本作に登場せず、当然のことながら同氏の人格や人物像を描く意図もありません。本作は、歴史的事実に着想を得たフィクションです。したがって、本作を「歴史捏造作品」であるかのように断定することは、作品の内容および制作意図を正確に踏まえたものではありません」と説明。
「原告は、本映画の上映を阻止する旨も明言しております。しかしながら、原告の一方的な主張に基づき公開を中止することは、歴史的事実や実在の組織・事件を題材とする表現活動に重大な萎縮をもたらしかねません。これまで当たり前のように見られてきた歴史ドラマ、社会派作品、実在の出来事に着想を得た映画やドラマを、観客の皆さまに届けること自体が難しくなるおそれがあります」とし、「本製作委員会は、本作が原告を含む第三者の権利を不当に侵害するものでないと確信しております。したがって、映画の公開予定に変更はございません」と、予定通り公開するとした。
最後に「なお、本作ならびにキャスト・スタッフ・その他関係者の信用や名誉を不当に毀損する発信や働きかけに対しては、法的措置を含め適切に対応してまいります」と明かしていた。