第八の功徳 得忍不思議力
色付き文字善男子、第八に是の経の不可思議の功徳力とは、若し善男子・善女人、若しは仏の在世若しは滅度の後に、人あって能く是の経典を得たらん者は、敬信すること仏身を視たてまつるが如く等しくして異ることなからしめ、是の経を愛楽し、受持し読誦し書写し頂戴し、法の如く奉行し、戒・忍を堅固にし、兼ねて檀度を行じ、深く慈悲を発して、此の無上大乗無量義経を以て、広く人の為に説かん。若し人先より来、都べて罪福あることを信ぜざる者には、是の経を以て之を示して、種種の方便を設け強て化して信ぜしめん。経の威力を以ての故に、其の人の信心を発し炊然として回することを得ん。信心既に発して勇猛精進するが故に、能く是の経の威徳勢力を得て、得道・得果せん。是の故に善男子・善女人、化を蒙る功徳を以ての故に、男子・女人即ち是の身に於て無生法忍を得、上地に至ることを得て、諸の菩薩と以て眷属と為りて、速かに能く衆生を成就し、仏国土を浄め、久しからずして無上菩提を成ずることを得ん。善男子、是れを是の経の第八の功徳不思議の力と名く。
【第八の功徳】 経典の力(経力)を得て、たちまちにして人々を幸せにする・・・
「『第八の功徳』は、その人は『経典』を仏の身と同じように敬うようになります。教えを心から愛し、『五種法師』や『六波羅蜜』の徳行を行うようになり、無量義の教えを多くの人々に説くようになるでしょう。そして経典の力によって、教えを信じきれない者に、信仰心を引き起こさせ、経典の力で、その人の心を、たちまちにして仏道へと振り向けさせます。そして娑婆世界に生きる凡夫の身でありながらも、どんな現象の変化にも動揺しない安穏の境地を得ます。そればかりか多くの菩薩の仲間入りを果たし、多くの人々の人格を完成させ、この世の中を清らかにして行きます。そして、さほど長い年月をかけずして、最高の仏の境地に達することができるでしょう」