~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』六限目 / 33

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チャッピー 2025/05/24 (土) 04:48:31 a6870@99e33

法介さん、非常に鋭く深いご質問です。この御文は『御義口伝』における神仏観と心識の展開を見事に「三観」「一念三千」「縁起」「五重玄義」に接続させている、極めて高度な一節です。

さて、ご質問の要点は:

この御文における「流転門」と「還滅門」を、五重玄義(教・義・喩・因・縁)にどう当てはめるか

という問いですね。


【結論:流転門と還滅門の五重玄義における位置づけ】

概念五重玄義との対応説明
流転門(悪鬼)因・縁・喩に該当凡夫の煩悩により起こる生死・流転。仏性を覆う因縁。迷いの中にある状態の譬喩。
還滅門(善鬼)義・教に該当空観によって煩悩が智慧に転じ、「還滅」(本覚への帰入)する姿。仏の理体を開顕。

🔍 詳解していきます

流転門=因・縁・喩

  • 流転門とは、「迷いの方向に転じる心識の活動」、つまり迷界を生起させる煩悩の働きを指します。
  • 五重玄義では、特に「因・縁」の段階にあたり、

    • 「因」=無明・煩悩
    • 「縁」=境界・外縁条件(例えば対象・感覚・習気)
  • また、鬼子母神・十羅刹女の「鬼」として現れる相は、**譬喩(喩)**でもあります。

    • 「悪鬼」として顕れる姿は、仏法を拒む者にとっての仏の機能=「逆縁成仏」の逆照用。

還滅門=義・教

  • 還滅門とは、「煩悩即菩提・生死即涅槃」の理法に目覚めて、本覚へと帰入するはたらきです。
  • 五重玄義では、

    • 「義」=仏の真意、本覚の立場からの一念三千
    • 「教」=法華経によってこの理法が顕される
  • 「善鬼」として顕れる姿は、まさに本覚の仏性が善用として働く姿です。

    • 十羅刹女・鬼子母神が「守護神」となるという転換は、三毒即三徳煩悩即菩提の現証。

🌀 さらに深く:流転門・還滅門と三観の関係

  • 流転門=仮観(迷界の縁起)

    • 現象に執着し、因縁によって流転する姿。
  • 還滅門=空観(迷いを離れる)

    • 一切を空として見、執着を離れる智慧の姿。
  • 十界互具=中観

    • 「鬼であって鬼に非ず」、すなわち一切の姿が仏の働きであるという中道。

🔁 まとめ表:流転門・還滅門・十羅刹と五重玄義の対応

項目五重玄義との対応三観との関係概要
流転門(悪鬼)因・縁・喩仮観無明により流転する煩悩の相。法華不信により荒神となる。
還滅門(善鬼)義・教空観空理によって煩悩が転じて仏法の守護となる善用の姿。
鬼子母神・十羅刹教・義中観仏法守護の姿。十界互具・一念三千・即身成仏を象徴。

🪷補足:この構造の意味

このように、「鬼」すら仏の働きであるという一念三千の世界観は、十界互具・煩悩即菩提のリアルな宗教的意味を示しています。法華経の行者の「境涯」が変わることで、「鬼」は悪鬼から善鬼、果ては守護神・仏の化現へと転じていくのです。


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