手を組み祈るような形で冷や汗を流す
「勇作の誕生日…?いつだ」
かれこれ兄弟として長く過ごしそれなりに祝われてきたが、そういえば弟を祝った事がない。
気まぐれに祝ってやるかと思い立ったが吉日ではなかった。兄としての面目丸潰れである。バカな。
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手を組み祈るような形で冷や汗を流す
「勇作の誕生日…?いつだ」
かれこれ兄弟として長く過ごしそれなりに祝われてきたが、そういえば弟を祝った事がない。
気まぐれに祝ってやるかと思い立ったが吉日ではなかった。兄としての面目丸潰れである。バカな。
打ちひしがれていても仕方がない。
そう考え直した尾形は現状を打開するべく、次の手を打つことにした。
それとなく勇作と会話をしながら、誕生日を聞き出してやろう。
そう思い至った尾形は、さっそくリビングでテレビを見ていた勇作に話しかけた。
「勇作さん、先日はありがとうございました。」
「いえ!勇作も兄様の誕生日をお祝いできて嬉しかったです。」
一ヶ月遅れでしたが…そう言って勇作がはにかむ。
「俺も…その、うれしかったです。」
改めて伝えると気恥ずかしい。
「…勇作さんは春生まれでしたっけ。」
きっとあたたかい日に生まれたのだろう、尾形は当てずっぽうにそう問いかけた。
「……そうですね」
曖昧な回答。
(どっちだ…⁉︎)
尾形の額に冷や汗が滲む。
しかし、慌てる素振りは見せたくない。
ため息のように見せかける深呼吸をして、尾形は髪をかきあげた。
「とびきりの誕生日パーティーをお見舞いして差し上げるので楽しみにしててください」
「ありがとうございます、兄様」
背中に汗が伝った…のは勇作であった。
(実は今日だなんて…言えない)
チラリと自分で用意したケーキを隠した冷蔵庫に目をやる。
尾形が冷蔵庫を開けてケーキを見つけ、サプライズセルフ誕生日パーティーが行われるまで、あと45分……