アーバンレインは胸の同調スロットに触れる。そこはかすかに光る。
「単刀直入に言うと、ドリーム・シアターは、古代巨人族がエルフに作らせたエルドリッチ・マシンよ」
「数万年前に遡るゼンドリックの古代巨人文明、その崩壊のきっかけが、当時の巨人族とダル・クォールとの戦争にあるのは知ってる?」
「クォーリと巨人族、どちらが先にその火蓋を切ったのか、もはや確かめることもできないけど、ともかく戦争が起こった」
「当時はまだエベロンとダル・クォールは切り離されていなかったから、クォーリはポータルを通ってエベロンに乗り込んできた。巨人族は防戦一方となった」
「反転攻勢に出るにあたって、巨人族は自らの精神を明晰な状態で夢幻界に投射する手段を求めた。ついでにいうと、夢を見ないエルフ…当時は巨人の奴隷だったわけだけど…エルフの精神もダル・クォールに連れて行けるようになる、そんな手段を」
「そして当時のエルフのアーティフィサーは、その要求を満たす道具を完成させた。夢を見なくても夢の世界に行けるようになったわけね」
「巨人族とダル・クォールとの戦争は永く続いた。最終的に古代巨人族は、当時の空に浮かんでいた13の月のうち1つを破壊するほどの魔法を使った。その結果、ダル・クォールはエベロンとの接点を失ったけれど、引き換えに巨人文明も衰退してしまった」
「そこからエルフの叛乱が始まって、古代巨人族最後の皇帝カルシールがエルフ制圧のため、再び巨大な魔法を発動しようとした時、アルゴネッセンのドラゴンたちが介入した」
「ドラゴンは巨人族の暴挙を許さなかった。古代巨人文明を徹底的に破壊し尽くして、巨人の時代は終わりを告げた」
「まあ、歴史に詳しい人ならこのくらいは知ってるでしょうね。ともかく、このドリーム・シアターの出自はそういうものよ」