ににんがし

【はったみさと&山口斯】(第2期) / 117

117

>> 112
>> 113

   寤㝱の繰り返し

   向かいの船は
   夜振りの生命力
   狂うように息をする松明
   あざやかな熱に
   表層は融(と)け
   葉は焦がれる

   七瀬の形代
   ななつさがりの雨
   冷ゆる肉(しし)をは語りえぬ
   腐(くた)されては窳(いしま)の感触
   幻影の
   卵(かいご) 夢想せり

鶴の号(さけ)び
無目籠(まなしかたま)に抱かれた
重みに少しく打つ波は
雨に叩かれて
さらばえし荷を運ぶ
水夫(かこ)の褻

濁流期剋(いのご)いて降(くだ)り
聖牛に嚙砕され
骸籠(むくろごめ)朝す
千声矢庭に越え隔(へな)り
霧海不時(とき)の間に
至れる無何有の郷

遠雷の寄り来ぬ和やかな無期(むご)
常若の呪(とご)い
凝(こご)しき懸崖に層はなく
松喰鶴集(うごなわ)る
ここには晦(つごもり)も寿詞(よごと)もあらぬ
宜々しき無韻の詩
   の空室(うつむろ)

なごりの月をいただいて
空車(むなぐるま)の賑わい
松の言の葉 罎に詰め
実(むざね)の弔い
つきの鼠にゆだねる
期(ご)してはむかわるらし

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