303号室

訃報 / 1

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彼のパフォーマンスを初めて目撃したのは、昨年末のことだ。
小鳥のさえずり、溢れる夕日、そよ風の囁き、五時の知らせ。
肌寒い冷気に鼻水が垂れ、瞬きを忘れた瞳からは涙が流れた。

同じコタツで熱燗をすする。
ふと、部屋の隅に置かれた馬鹿でかい陶器を眺めて
何だこれ?と思いながらじっと考えていると、彼は

「知らんのか、そりゃ火鉢だ」と言った。
 
 
初めての出逢いが、最後のお別れとなった。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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