303号室

1818号室

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名無しさん
作成: 2018/02/04 (日) 19:11:13
最終更新: 2018/02/04 (日) 19:11:25
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よく劇場に見に来てくれる人が、入院したらしい。ので、今日はお見舞いに行って来た。
他愛もない話しかしなかったけど、すごく喜んでいた。今まで劇場でしか逢ったことがなかったので、彼が普通の会社員だったことを、そこで初めて知った。お客さんは私のことを知っているのに、私は彼のことを何ひとつ、知らなかった。
 
自分の細胞が、命を蝕む悪者に変わってしまうだなんて、身体は何て理不尽なんだろう。すっかり痩せ細ってしまった自分の腕を指して、ここに管が埋め込まれていて、そこから採血をしたり、点滴をしたりするんだよ、と教えてくれた。
 
真っ白く静かな空間で、窓に広がるビルやお寺を眺める。二人で、雲からこぼれる夕日を見たりして過ごした後で、何気なくベッドの側にある封筒を手にとった彼に目をうつすと、中にはぎっしりと色々な公演のチラシが詰まっていて
「外出許可を取って、昨日も劇場に行ったのね。けど、今年は2つしか観に行けてないの。いつもなら、20は観に行けるのにな。」と、さびしそうに呟いていた。
私はまだふわふわとした気持ちで、一歩一歩、さっきまでの彼との会話を反芻しながら、帰路についている。
 

2

なにひとつ知らないことを知らされる時って途方も無い虚しさがある

3

認知の距離感の差に、なにか切なさみたいな物が詰まっているみたい。白い部屋から一緒に眺める夕日を想像してガラにもなくウルウルしました。
お客さんが自分の事を知っているけど自分は何ひとつ知らないと思う時、呆然する位戸惑う時があります。
会場まで足を伸ばして来て下さってそれだけで有難いのにまして差し入れなんて頂いた時には、感謝に辿り着く前に驚きが来てたまにちょっとショートします。

4

むちゃくちゃ良い話っすねw
自分もざっくり言うと舞台に出る仕事してるんですけど、終演して話しかけてくれるお客さんとかすげーなって思います
俺、全然知らんのに何かすいませんっていっつも頭下げてますw