「また傷が増えたわね」 村の外れで、女が眉をひそめて言った。 前髪に付けた髪留めが、西日を受けて輝いた。
相手は、お沢稲荷。 古館山を拠点に、雄勝一帯を統べる女である。 左目の周りと右肩に、包帯が巻かれている。 妖を退治した際に受けた傷だった。
そうでなくとも、精悍な体のあちこちに傷跡がある。 しかし、本人は外見など気にしていない。 元々切り揃えられていたであろう髪はぼさぼさで、 長い後ろ髪を、後頭部で一つにまとめていた。
お沢が不敵に笑った。 鋭い右目で、不安げな女の顔を見つめている。
「いつものことだ。心配するなアグリコ」 「いつもだから心配するのよ」 “亜久利子”と呼ばれた女も、土着の神であった。
不適切なコンテンツとして通報するには以下の「送信」ボタンを押して下さい。 管理チームへ匿名通報が送信されます。あなたが誰であるかを管理チームに特定されることはありません。
どのように不適切か説明したい場合、メッセージをご記入下さい。空白のままでも通報は送信されます。
通報履歴 で、あなたの通報と対応時のメッセージを確認できます。
「また傷が増えたわね」
村の外れで、女が眉をひそめて言った。
前髪に付けた髪留めが、西日を受けて輝いた。
相手は、お沢稲荷。
古館山を拠点に、雄勝一帯を統べる女である。
左目の周りと右肩に、包帯が巻かれている。
妖を退治した際に受けた傷だった。
そうでなくとも、精悍な体のあちこちに傷跡がある。
しかし、本人は外見など気にしていない。
元々切り揃えられていたであろう髪はぼさぼさで、
長い後ろ髪を、後頭部で一つにまとめていた。
お沢が不敵に笑った。
鋭い右目で、不安げな女の顔を見つめている。
「いつものことだ。心配するなアグリコ」
「いつもだから心配するのよ」
“亜久利子”と呼ばれた女も、土着の神であった。