燈の6句選です。
人 6 母の日や母の足踏みオルガンの
阪田寛夫の『土の器』の母を思いました。廊下のすみの西日のあたるオルガン……信仰心の篤かった母の姿
が目に浮かびます。
地 13 喪失や修司訛りで詠む五月
修司を失い、青森訛りを失いました。そしてこの年の7月には高柳重信も亡くなりました。
私には1971年5月に亡くなった高橋和巳の五月でもあります。
天 19 夢の世の夢を買へどもヒヤシンス
夢の世でつくった葱は俳句だったのか。それとも寂しさに買った夢が俳句だったのか。
謎めいたヒヤシンスの取り合わせも妙。文句なしに特選です。
人 20 踊り子草もう入らないフレアスカート
買ったときははけたんだから、失敗した買い物じゃないと思うけどな。
地 24 冥い墓抜けて五月の海へゆく
この句の五月にも、寺山修司の世界が重なります。五月は寺山のものだね。
人 25 たましひはタイムリープかあの夏に
タイムリープとタイムトラベルはちがうということを知りました。
できるなら、タイムリープがいいなあ。「あの夏へ」のほうが着地がひろやかでは。
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