新型アンプのECC81の動作についてもう少し詳しく解説いたします。
ECC81は比較的内部抵抗が低くECC83よりも高いドライブ能力を有します。
増幅率は60倍有り、殆どの出力管ををECC81の1段増幅でドライブ可能です。
新型6AR6アンプではECC81の両ユニットをパラレルとしてドライブ能力を更に高めています。
良いこと尽くめのECC81ではありますが難点が無いわけではありません。
ECC81は元々テレビやFMラジオ等のVHF帯のチューナー用の球として開発されました。
高周波用の球の特徴として動作の際には抵抗ではなく高周波コイルが負荷となります。
また、球の増幅率ができるだけ高く直線性の良い領域で動作するようプレート電流を多く流して使用します。
ECC81を通常の低高結合型の回路で使用しますとプレート電流を多く流すことができず増幅率が低く直線性の悪い領域でしか動作させられません。
ECC81のオーディオアンプへの使用例が意外と少なく、使用されたとしてもNFBが掛かったアンプが殆どなのは前述の理由によるものであろうと思います。
そこでチョーク結合増幅回路の登場となるわけです。
ECC81の負荷としてチョークコイルを使用しますと好きなだけプレート電流を流すことが可能となります。
今回は、ECC81のEp-Ip特性を良く観察して増幅率が高く直線性が良い領域をピンポイントで探り当て動作点を設定しています。
ECC81から発生する歪は非常に少なくアンプから生ずる歪の殆どは6AR6が発生する適度なハーモニクス成分です。
新型6AR6アンプが高い解像度を誇りながら耳当たりの良い音を奏でることは想像に難くありません。
歪の減少を意図してECC81と6AR6間で歪の打消しを行いますと音はシャープになりますが乾いた潤いの無い再生音となります。
世に理想的な真空管は存在しません。
使用球の長所と短所を理解して採用する回路を選定し最適な動作点に設定することが肝要です。
評判の良い球を使用する=良い音のアンプになるとは限らないのです。
私は、「良い音はアンプの細部に宿る」と思っています。
博士さま
アンプ作りにもいろいろな裏技があるのですね。「良い音はアンプの細部に宿る」書き留めておきます。