仏教のお話

Rの会:方便品第二(前半) / 35

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ダルマ太郎 2024/05/02 (木) 15:35:04 修正

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五仏章
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第一諸仏章
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法の希有を歎ず
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経:仏、舎利弗に告げたまわく。是の如き妙法は、諸仏如来、時に乃しこれを説きたもう。優曇鉢華の時に一たび現ずるが如きのみ。
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太郎訳:仏は、シャーリプトラに告げました。これから説く真実の教えは、諸仏・如来が、長い時の中で時を選んで説かれてきた教えです。説かれることは、きわめて稀でありウドゥンバラ樹の花が三千年に一度しか咲かないのと同じように説かれることは少ないのです。
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説に虚妄なし
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経:舎利弗。汝等当に信ずべし、仏の所説は(みこと)、虚妄ならず。
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太郎訳:シャーリプトラよ。あなたは、このことを信じて下さい。仏の説く教えは、真実であって嘘いつわりはありません。
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方便を開く
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経:舎利弗。諸仏の随宜の説法は意趣解し難し。所以は何ん、我、無数の方便・種々の因縁・譬諭・言辞を以て諸法を演説す。
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太郎訳:シャーリプトラよ。人々に応じて説かれる諸仏の教えにおいて、その真意は理解しがたいものです。私も、数多くの方便、様々な体験談、譬え話、語源によって様々に教えを説いてきました。
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真実を顕す
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経:この法は思量分別のよく解する所に非ず。ただ諸仏のみましまして、乃しよくこれを知しめせり。
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太郎訳:この教えの真意は、思惟しても分析してみても、よく理解できるものではありません。ただ諸仏のみが、この真意を知っているのです。
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法の希有を歎ず
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  • 36
    ダルマ太郎 2024/05/02 (木) 17:03:16 修正 >> 35

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    出世の本懐を標す
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    経:所以は何ん。諸仏世尊は、ただ一大事の因縁を以ての故に世に出現したもう。舎利弗、云何なるをか、諸仏世尊は唯一大事の因縁を以ての故に世に出現したもうと名くる。
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    R訳:なぜ私が、法を説き分けて『真理』を説くのかと言えば、それはほかでもありません。ただ一つの重要な目的と意義のために、仏はこの世に現われたからにほかなりません。
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    太郎訳:なぜならば、諸仏・世尊は、ただ一つの大事な目的のためにこの世界に現われます。シャーリプトラよ。諸仏・世尊は、ただ一つの大事な目的のためにこの世界に現われるとは、どういうことなのかを説明いたしましょう。
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    正しく真実を釈す
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    経:諸仏世尊は、衆生をして仏知見を開かしめ清浄なることを得せしめんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして仏知見を示さんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして仏知見を悟らせめんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして仏知見の道に入らしめんと欲するが故に、世に出現したもう。舎利弗。これを諸仏は、ただ一大事因縁を以ての故に世に出現したもうとなづく。
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    R訳:舎利弗よ。その『諸仏出生の一大事因縁』が何かと言えば、それは全ての人に仏の『智慧の眼を開かせ』、清らかな心を呼び覚ますために、仏はこの世に出現するのです【開】。この世の一切は、例外なく『因縁の法則』によって成り立っているということを知らなければなりません。しかも、それぞれには『差別(差異)』があるように見ますが、しかしすべては『平等』であり、『仏性』を具えているのです。この、本来はそれぞれが『仏の智慧』を具えているのだということを『示す』ために、仏はこの世に出現したのです 【示】。そして衆生に仏の智慧を自らの体験によって『悟らせる』ために、仏はこの世に出現したのです【悟】。すべての者たちに、仏の智慧を成就する『道に入らせる』ために、仏はこの世に出現したのであります 【入】。舎利弗よ。仏はすべての人に『仏の智慧』を得さしめるため、つまり、この『開・示・悟・入』というはたらきを行うために、この世に生まれ出でたのです。
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    太郎訳:諸仏・世尊は、人々を仏の智慧によって様々な執着から心を解放させ、清らかな境地へと導くためにこの世界に現われます。人々を仏の智慧によって、事物・現象に真実が示されていると理解できるように導くためにこの世界に現われます。人々を仏の智慧によって、事物・現象と真実が一体であると悟れるように導くためにこの世界に現われます。人々を仏の智慧によって、真実を悟らせ、真実を悟ることによって最高の智慧を完成させ、成仏に導くためにこの世界に現われます。シャーリプトラよ。これを、諸仏がただ一つの大事な目的のためにこの世界に出現するといいます。
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    経:仏、舎利弗に告げたまわく。諸仏如来は、ただ菩薩を教化したもう。諸の所作あるは常に一事の為なり。ただ仏の知見を以て衆生に示悟したまわんとなり。舎利弗。如来は、ただ一仏乗を以ての故に、衆生の為に法を説きたもう。余乗の若しは二若しは三あることなし。舎利弗。一切十方の諸仏の法もまた是の如し。
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    太郎訳:仏は、シャーリプトラに告げました。諸仏・如来は、ただ菩薩だけを教化します。様々な教えによって説かれる内容は、ただ成仏のためです。この一事のためです。ただ、仏の智慧によって人々に真実を示し、悟らせるためです。シャーリプトラよ。如来は、ただ一仏乗によって、人々のため教えを説いています。一仏乗の他には、二つ目の教えとか、三つ目の教えというものはありません。シャーリプトラよ。このことは、一切の十方の諸仏の教えも同じです。
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    出世の本懐を標す
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  • 37
    ダルマ太郎 2024/05/02 (木) 18:46:45 >> 35

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    一大事因縁とは
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    太郎論:一大事因縁とは、諸仏世尊がこの世に現れた唯一の大きな目的のことです。それは、開示悟入だと告げられます。諸仏世尊は、人々の仏知見を開かせ、示し、悟らせ、仏知見の道に入れるために、この世に現れたのです。仏知見とは、タターガタ・ジュニャーナ・ダルシャナ tathāgata-jñāna-darśana の訳です。意味は、「如来の智による見方」です。如来は、真の真理を観ることができますので、「真の真理の見方」でしょう。
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    開仏知見
    真の真理の門を開くこと。
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    示仏知見
    真の真理の門の内側を示すこと。
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    悟仏知見
    真の真理の門の内側を記憶させること。
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    入仏知見
    真の真理の内側へと導き入れること。
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    サンスクリット本では、開示悟入ではなく、勧・示・入・覚・道になっています。4つではなく、5つです。諸仏・世尊とは、応身仏の釈尊のことであり、法身仏のことでもあります。法身仏は、現象を通して開示悟入をするということでしょう。
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    一大事因縁とは
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