北九州の小倉駅から少し離れたビルの一階に、その店はあった。アドバンが店に入ろうとしたその瞬間、怪しげな黒塗りの二台の外車が狭い路上に勢い良くなだれ込んできて、無造作に二台同時に停車した。
車のドアが開き、そこから銃を持った男たちが飛び出してきた。二人はすぐに、アドバンのすぐ近くにいた一人の男に向けて銃を構えた!
アドバンは瞬時に反応し、コートの中から二丁の銃を両手で抜き取った。そのまま、目の前の男をかばいながら、二人の銃を構える男に向けて両手の銃をそれぞれ突きつけ、仁王立ちで構えた。
緊迫した空気がその場を包み込む中、その時、鉄道模型店の扉が開き、グレーのロングコート姿の男が出てきた。彼は小栗旬に似た大柄な風貌で、長髪をオールバックに流し、レイバンのサングラスをかけていた。その姿はまさに怪しげで、一歩一歩が重みを感じさせた。
「お前ら、何やってんだ?」
大声で叫ぶわけでもなく、かといって小声でもなく、その声は中音でありながらも、遠くまで響く圧倒的な存在感を持っていた。
「ゆ、雄一郎さん!」
襲撃していた二人が、気まずそうに声を揃えた。
そして、その男がアドバンに向かって言った。
「お前、何者だ? そのぶっそうな物をまずはしまおうや。」
「俺は国際警察だ。」
「国際警察? って、銭形警部かよ・・・ここは日本なんだ。日本には日本のやり方ってのがあるんだよ、まずはその銃をしまいな。」
その男が放つ言葉一つ一つには、確かな説得力があった。アドバンはその言葉に従い、銃を静かに仕舞った。そして、かばっていた男に向き直ると、厳しい目で言った。
「龍二。お前、今度は何をしでかした? 鬼頭会さんが銃まで持ち出してきた。これはただ事じゃ済まねーぞ、お前。」
「ゆ、雄一郎さん・・・助けて・・・」
「助けてやりたさ、俺だって。助けてやれるもんならな・・・しかし、鬼頭会さん、凄く怒ってるみたいだし、無理かもね・・・」
「そ、そんなー・・・」
「健造! 太一! とりあえずこいつは俺が預かる。こいつから詳しい事情を聞いとくから、この一軒は俺に任せてくれないか?」
「雄一朗さんがそう言うのなら・・・仕方ねぇ、お願いしやす。」
二人は銃をしまい、車に乗り込んでその場をさっさと立ち去った。
「龍二、お前、この店に来たんだろ?まぁ、中でゆっくり話そうや。」
「お前さんも、もしかしてこの店に?」
「あ、ああ。」
「じゃあ、お前もついて来い。」
三人は、ぞろぞろと店の中に入っていった。その先に待ち受ける運命は、誰にも分からない。