～博多めんたい佛教大学～『法介義塾』

宗章の最後のシーン

「宗章殿！」
武蔵の声が、静寂の中に響き渡る。
力尽きて仰向けに倒れた宗章の表情は、安堵と悲しみが交錯していた。天を仰ぐその目に、どこか穏やかな輝きが残る。
「宗章殿、答えてください！」
武蔵が必死に宗章の手を握りしめる。だが、宗章の意識はすでに遠く、言葉を返すことはない。
その時、武蔵は思い出す。
あのじいさんの言葉を。
「空」とは何か？ それは、己を捨て、無心となり、すべてのものと一体になる境地だ。宗章も、あの境地に近づいていたのだろうか。
「どうしても、あの場所に戻らなければならない…」
武蔵は内心でそう呟き、胸にひしめく感情を抑えきれずに目を閉じた。

その後

「アドバン、お前のおかげでわしは命拾いした。ありがとう」
真兵衛の声が、アドバンの耳に響く。救急車の中で彼は安堵の表情を浮かべていた。心筋梗塞から一命を取り留めた真兵衛に、アドバンは強く肩を叩く。
「よかった…本当に、よかった」
その後、アドバンは深い息をつき、心の中で決意を固めた。真兵衛の命が救われたことに安堵しつつも、武蔵が抱える孤独を思う。
柳生の里で見た、あのじいさんの姿。
「我を捨てよ」と語ったあの姿が、今もアドバンの胸に深く刻まれている。
武蔵も、やはりあの境地に向かって歩んでいるのだろうか…。