五輪の書:九州ドライブ編
アドバンは北九州に赴いた際、不便さを感じた。「足」がないという現実が、彼の行動力を制限していたからだ。だが、その解決策はすぐに見つかった。彼は部隊に命じ、自身の愛車「マイバッハ」を現地へ送らせたのだった。
アフロの歓喜
普段、マイバッハの運転は「スピード・キング」の専任だ。だが今回は、アフロがハンドルを握ることに。彼の目は期待に輝いていた。
「キングが運転してたこのマイバッハか…」
「ついに俺様の出番が来たわけだな!」
アフロは運転席に腰を下ろし、車内の高級感を全身で味わった。ハンドルを撫でながら、どこか誇らしげに車に語りかける。
「物足りなかっただろう、キングの運転じゃ。今日からは俺様の操縦だ!」
キーを放り投げるアドバンは、その様子を冷ややかに見つめつつも、どこか楽しんでいる。
ランクル登場
そこに現れたのは一台のランクルだった。トヨタ・ランド・クルーザー・70。無骨でクラシックな四駆の横綱とも言える存在感を放つ。
ランクルから降りてきたのは、雄一郎だ。
「よう、アフロ。久しぶりだな!元気そうだな?」
「雄一郎さん、また老けたんじゃね?」
「うるせえ、こっちは色々苦労が多いんだよ!」
久々の再会に、二人の間で軽口が飛び交う。今日の予定は、アフロ運転のマイバッハと、雄一郎のランクルで九州が誇る名城、熊本城へのドライブだ。
親子の会話
ランクルに乗り込んだ陽次郎が、父である雄一郎に声をかける。
「親父、危なかったんだってな」
「まあな。バイパス手術をしたおかげで、今はもう大丈夫だ。病院で安静にしてるよ」
「そうか。良かったよ、ほんと」
父と息子の久々の会話は穏やかで、どこか温かい雰囲気に包まれていた。
九州の道を駆ける二台の車
マイバッハとランクル、対照的な二台の車が九州の道を駆け抜ける。
一方はラグジュアリーな王者、もう一方は逞しい四駆の横綱。
それぞれの運転手が見せる個性が、車の個性と混じり合い、道中は笑い声と話の尽きない時間で満たされていた。
目的地、熊本城へ向かう道中は、九州の雄大な自然が二台を迎えていた。車窓から広がる景色に、誰もが一瞬、言葉を失う。そして、雄一郎のランクルが、マイバッハを軽く追い抜いた時、アフロが負けじとアクセルを踏む。
「このマイバッハ、最高だろうが!ランクルになんか負けるもんか!」
アフロと雄一郎、陽次郎、そしてアドバン。それぞれの思いが交錯する旅路だった。