~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『Wild-Bison』第二部 後編 / 86

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法介 2025/01/15 (水) 19:52:55

非常にデリケートなテーマなので慎重に扱うべきですが、物語の中で両者を対比させることで「善悪の相対性」をさらに深く掘り下げることは可能だと思います。ただし、その際にアメリカ国民の感情を逆撫でしないようにするためには、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。


1. 「非難」ではなく「問いかけ」の形にする

広島の原爆投下や同時多発テロを描写する場合、それを単に「悪」と断定するのではなく、「なぜそれが起きたのか」「それがどのような影響を及ぼしたのか」といった「問いかけ」の形で描くことが重要です。善悪の二元論で片付けるのではなく、行為の背景にある「縁起」(相互の因果関係)を浮き彫りにすることで、読者に深く考えさせることができます。

例:

  • 広島の原爆投下は、戦争を終結させるための決断だったという側面がある一方で、膨大な民間人の命が犠牲になった。
  • 同時多発テロは、特定の思想や価値観による暴力的な表現だったが、その背景には長年の国際的な緊張や不公平があった。

これらを描写する際に、善悪を断じるのではなく、「その行為の背景に何があったのか」を問いかける形にすれば、感情的な反発を招きにくくなります。


2. 「被害者の視点」を強調する

広島やグランドゼロの描写では、どちらの側の被害者も「一人一人の尊い命」として描くことが重要です。それぞれの出来事を体験した人々の苦しみや悲しみを丁寧に表現することで、どちらの側にも偏らない公平な視点を保てます。

例:

  • 広島の原爆投下の映像では、焼け焦げた街並みや瓦礫の中で必死に生き延びようとする子供たちを描写。
  • グランドゼロでは、炎に包まれるビルから逃げ惑う人々や、瓦礫の中から救助を求める声を描写。

どちらも同じように「悲劇」であることを示し、それがいかに「命の重さを忘れた行為」だったかを強調します。


3. 善悪の相対性を示すための「第三の視点」を導入する

物語のキャラクター、特にアドバンやマリーが「これらは善でも悪でもない。ただ、それをどう捉えるかだ」という冷静な視点を提供することで、読者の感情が過熱するのを防ぎます。この視点が、広島もグランドゼロも共に「人間の弱さ」や「暴力の連鎖」を象徴していると解釈する流れを作ります。

例:

  • アドバンがこう語るシーンを挿入:
    「俺たちは、過去にこんな悲劇を繰り返してきた。それぞれの“正義”の名のもとにな。でも、これが本当の正義なのか? どちらの命も同じように大切じゃないのか?」

4. アメリカ国民へのリスペクトを明示する

物語の中で、アメリカ国民の「勇気」や「復興への努力」を肯定的に描くシーンを挿入することで、読者が「非難」ではなく「理解しようとしている」という印象を受けるようにします。たとえば、グランドゼロで救助活動に尽力した消防士や警察官の英雄的な行動を描くといった方法が考えられます。

例:

  • グランドゼロのシーンで、アメリカ国民が手を取り合い、復興に向けて団結する姿を映像として映し出す。
  • マリーが「こんな悲劇の中でも、人々が立ち上がろうとする力はすごい」と感動するシーンを挿入。

5. 広島とグランドゼロの「類似点」を描く

どちらも「一般市民が巻き込まれた悲劇」であることに焦点を当て、「正義」という名の下で起こる暴力がいかに多くの命を奪うかを示します。その共通点を描くことで、特定の国や行為を非難する意図ではなく、「人類全体へのメッセージ」として物語を展開できます。

例:

  • 広島の映像とグランドゼロの映像が並行して映し出される中で、アドバンが呟く:
    「なぜ俺たちは、同じ悲劇を繰り返してしまうんだ…?」

シーン例:広島とグランドゼロを結びつける

暗闇に浮かぶモニターがまた点灯する。映し出されたのは、広島の瓦礫の中で泣き叫ぶ子供たちと、グランドゼロで救助を求める人々の姿。それぞれの悲劇が交互に映され、やがて画面が一つに重なり合う。

アドバンは画面を見つめ、静かに呟く。
「なぜだ…? 広島では“戦争を終わらせる正義”のために命が奪われた。グランドゼロでは“自由を守る正義”のために命が奪われた…。どちらも“正義”だったはずだ。それなのに、なぜこうも多くの命が犠牲になるんだ?」

隣でモニターを見ていたマリーが、涙を浮かべながら答える。
「きっと、私たちがそれぞれの“正義”に囚われて、相手の痛みを理解しようとしなかったからじゃないかな…。パパはいつも言ってた。“本当の強さは、相手の違いを受け入れる心だ”って。」

アドバンが目を閉じ、深呼吸する。彼の脳裏に浮かぶのは、過去の戦場で命を奪ってきた自分自身の記憶。そして広島やグランドゼロで苦しむ人々の姿だ。
「そうだな…。強さってのは、ただ力でねじ伏せることじゃない。相手を理解しようとすることだ。それを忘れた時、正義は狂気に変わる。」

モニターには、広島とグランドゼロの悲劇が同時に映し出されたままだった。しかし、その中で一人一人が力を合わせて復興に向かう姿が続いている。それを見たマリーが、アドバンに微笑む。
「私たちは変われるよ、アドバン。この悲劇を見て、何を選ぶかが私たち次第なんだから。」


結論

広島とグランドゼロを並行して描く場合は、感情的な衝突を避けつつ、人類全体の課題として「善悪の相対性」や「暴力の無意味さ」を示すことで、読者が深く考えるきっかけを与えることができます。その際、どちらの出来事も「命の重み」を強調することが鍵です。

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