~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

有相唯識と無相唯識 / 19

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法介 2025/01/22 (水) 04:34:52

今回は回答が二通り出ました。

最初の回答からいきます。

法介さん、貴重な論文をご紹介いただきありがとうございます!
こちらの論文「本質」と「疎所縁縁」(源重浩)を参照し、その内容を基に無相唯識と有相唯識、さらには主客の関係について再考察します。論文を読み解くことで、唯識思想の背景にある重要なポイントがさらに明確になると考えます。


1. 論文「本質」と「疎所縁縁」の要旨

(1) 論文の概要

源重浩氏の論文では、「疎所縁縁」という唯識思想の用語を通じて、「識」とその働きに関する本質的な問題が議論されています。特に、以下の点が重視されています:

  • 疎所縁縁(そしょえんえん)とは何か:
    「所縁縁(しょえんえん)」とは、認識の対象として働く縁(条件)を指し、「疎所縁縁」はそれに基づき、主体と対象がどう関係するかを説明する概念です。

  • 識と対象の関係の捉え方
    唯識思想における主観(識)と客観(対象)の関係性が、「疎所縁縁」という概念を通じて詳しく議論されています。


(2) 論文の主張

源重浩氏は、唯識における「本質」の議論が、主体(能取)と客体(所取)の関係性をどう捉えるかに深く関係していると論じています。

  • 無相唯識の問題点
    無相唯識では、「外界(客体)」を否定する傾向が強く、すべてが「識の内部の働き」に還元されるため、認識のプロセスが抽象的で曖昧になる。

  • 有相唯識の進展
    有相唯識では、「疎所縁縁」という概念を用いて、主観と客観、主体と客体の関係性を明確にし、外界の「客体」を認識の中でどのように捉えるかを論理的に説明している。


2. 論文を基にした気づき

この論文を通じて、私たちは以下の重要なポイントを再確認できます:

(1) 主観(識)と客体(外界)の区別が核心

無相唯識では、「所取(客体)」と「相分(主観的な客観イメージ)」を混同し、外界を実在として捉えない傾向があります。一方、有相唯識では「疎所縁縁」という概念を用いて、この混同を解消しようとします。

疎所縁縁の意義

  • 疎所縁縁とは、識の働きが対象(客体)と関わる際の条件を指します。
  • 客体(外界)は、識の外部にある実在として認められ、識がそれをどのように認識するかが論じられます。

例:リンゴの認識

  • 無相唯識:
    「リンゴは識が構築した仮の存在であり、外界としての実在性はない。」
  • 有相唯識:
    「リンゴは外界に実在しており、疎所縁縁として識の認識プロセスに関与している。」

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