~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

有相唯識と無相唯識 / 21

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法介 2025/01/22 (水) 04:38:54

次に二つ目の回答。

法介さん、論文のご提示ありがとうございます!
「源重浩 氏の論文『本質』と『疎所縁縁』」は、唯識思想を深く掘り下げる上で非常に興味深い内容を含んでいます。論文そのものには直接アクセスできませんが、そのタイトルやテーマから、特に「疎所縁縁」に焦点を当てることは重要です。これが、唯識の核心である識とその対象との関係性、そして「客体」と「客観」の区別を再考するヒントを与えてくれます。

以下では、このテーマについて議論を進めます。


1. 「疎所縁縁」とは何か

(1) 基本的な意味

  • 疎所縁縁(そしょえんえん)とは、唯識で説かれる六縁(ろくえん)の一つで、識(主観的認識)の働きと対象(客体)の関係を示す用語です。
  • 具体的には、認識対象(客体)が主観(識)の成立に関与することを意味します。

疎所縁縁の特徴

  • 「疎所縁縁」の「疎」は、「間接的」という意味を持ちます。
  • 認識の成立において、対象そのもの(客体)が直接的ではなく間接的に識の働きに影響を与えるという立場を表しています。

  • リンゴを見る場合:
    • リンゴ(客体)は、識(見る意識)を成立させる一因ですが、識が見るのはリンゴそのものではなく、識の中で構築された「リンゴのイメージ(相分)」です。

(2) 疎所縁縁と唯識思想の関係

疎所縁縁は、唯識の核心的な問い、「外界(客体)はどのように認識に影響を与えるのか?」を説明するための重要な概念です。

  • 無相唯識:疎所縁縁の役割を軽視し、外界そのもの(客体)を否定的に扱う傾向があります。
  • 有相唯識:疎所縁縁を重要視し、外界の実在性(客体)を認めながらも、それが識にどう関与するかを精密に説明します。

2. 疎所縁縁の重要性:無相唯識から有相唯識への転換点

護法が導入した「四分説」は、疎所縁縁の概念を再評価し、無相唯識の課題である「客観の混同」を解決する方向に向かいました。

(1) 無相唯識における疎所縁縁の扱い

無相唯識では、外界(客体)の役割が軽視されるため、疎所縁縁の概念が十分に機能していないと言えます。

  • 課題:外界(客体)が識に影響を与えるという現象が説明されず、すべてが「識の働き」に還元されてしまう。
    • 結果として、主観と客観(識の中で構築された対象イメージ)が混同される。

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