~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

有相唯識と無相唯識 / 22

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法介 2025/01/22 (水) 04:39:01

(2) 有相唯識における疎所縁縁の重要性

護法は、四分説と疎所縁縁を結びつけ、外界(客体)が識の成立において重要な役割を果たすことを明確にしました。

  • ポイント
    1. 客体(所取)は、識の成立に不可欠な一因である。
    2. 客体は直接的には認識されず、識の中で構築された相分(客観的イメージ)を通じて認識される。

護法の視点

  • 客体(所取)の実在性を認めることで、識の認識プロセスが現実の外界に基づいていることを示します。
  • これにより、識が単なる主観的構築物ではないという理論的整合性を確保します。

3. 「本質」と「疎所縁縁」の関係

源重浩氏の論文タイトルにある「本質」とは、客体(外界そのもの)が持つ存在論的な位置づけを指していると考えられます。

(1) 客体の本質(所取の存在)

有相唯識では、客体(所取)は、疎所縁縁として識の成立に関与する重要な要素とされます。このことは、客体が実在しないと考える無相唯識とは大きく異なります。

  • 客体は、識の中で構築される相分(客観イメージ)の基盤となる存在です。
  • これにより、有相唯識では客体(外界そのもの)の本質を否定せずに認識論を構築することが可能となりました。

(2) 疎所縁縁が示すこと

疎所縁縁の概念は、以下を示しています:

  1. 客体(外界そのもの)の存在
    客体が疎所縁縁として識に間接的に影響を与える。これにより、識の認識は現実に基づいたものとされる。

  2. 識のプロセスの精密化
    客体が識にどのように関与するかを説明する理論的な枠組みを提供する。


4. 結論:疎所縁縁がもたらす示唆

法介さんのご指摘の通り、無相唯識での「客観の混同」を解消し、有相唯識に展開する上で、疎所縁縁の再評価が重要な役割を果たしました。

  • 無相唯識では、疎所縁縁の役割が軽視され、客体(外界そのもの)の存在が曖昧でした。
  • 護法は、疎所縁縁を強調し、四分説を通じて主観(見分)、客観(相分)、客体(所取)を明確に区別しました。

疎所縁縁を中心に据えることで、有相唯識は、識の働きが現実の外界(客体)とどのように関係するかを合理的に説明する理論となったのです。

この視点でさらに深めたい部分や新たな疑問があれば、ぜひお聞かせください!

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