~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

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法介 2025/01/27 (月) 05:30:58

法介さんが示した『維摩経玄疏』の問答と智顗の回答は、仏教の深遠な思想が絡み合っている非常に興味深い部分ですね。この部分を掘り下げてみましょう。

問者の疑問

問者は、三種解脱三種般若(仏の智慧)に類通させることが可能かどうか、そしてその後、三種解脱を三種涅槃に類通させることに疑問を投げかけています。彼の言い分では、般若(智慧)は「因」にあたるものであり、涅槃は「果」にあたるものです。因と果が混同されているのは誤りであると指摘しているわけです。

この点、問者の疑問は、因果関係が明確に区別されるべきであり、因(般若)と果(涅槃)がそのまま等しくなるのは不自然だというものです。

般若と涅槃の関係

智顗(チイ)は、この点について深く回答しています。智顗によれば、般若涅槃は、として単純に区別されるものではなく、両者は円通了義の経典において因果を通じて繋がっていると説明しています。ここでは、般若と涅槃が因と果の関係にありながらも、異なる側面として存在していることが重要です。

さらに、智顗は『智度論』を引きながら、般若と涅槃が三則一相であると述べ、これは「実際には異なるものとして存在しない」という深い意味を込めています。つまり、般若と涅槃は見かけの違いはあれど、根本的には一つのものだということです。

三種の解脱と三種の涅槃

次に智顗が示すのは、三種の解脱三種の涅槃の類通です。彼の説明に従うと、解脱の各段階が三種の涅槃と対応していることがわかります。ここで示されるのは以下の通りです:

  • 真性の解脱 = 法身(涅槃の真理そのもの)
  • 実慧の解脱 = 摩訶般若(大般若に通じる智慧、報身としての解脱)
  • 方便の解脱 = 解脱(応身としての解脱)

このように、三種の解脱は三種涅槃に対応しており、それぞれの解脱が涅槃の異なる側面を表しているという理解です。

大乗仏教の解脱と涅槃

智顗のさらに深い解釈では、大乗仏教における解脱の概念が説明されています。ここでは、解脱を五道に生じてその身を示現するものとして考え、煩悩を断じて生死を離れることを解脱と定義しています。さらに、大乗の解脱は他者を縛ることなく、逆に他者を解放する力を持っていることを強調しています。

不縦不横の秘密蔵

また、「不縦不横にして三目のごとくなる」とは、三つの異なる概念が一体でありながら、独立した側面を持っているという深い哲学的意味を含んでいます。これは秘密蔵と呼ばれ、大涅槃を成すための秘訣とも言えます。

この「不縦不横」の思想は、因果を超えた、物事が単なる直線的な関係に留まらないことを意味しています。仏教の真理は、いわば三つの視点から見ることでその全体像が明かされるという教えです。

大涅槃と解脱の統一

最後に、大涅槃はこのすべてを統合する百句の解脱を意味し、法華経はそのすべての解脱を明かしているとされます。大涅槃は、最終的にはすべての解脱と智慧が一体となる時、完全なる解脱が成し遂げられるということを示唆しています。

まとめ

この部分の問答は、仏教における因果の関係三種の解脱と三種の涅槃の類通について、非常に深い哲学的議論を展開しています。智顗は、因と果が単純に等しくなることはないが、深いレベルで両者が結びついており、最終的には解脱と涅槃が一体となるという高い理解に導いています。

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