法介さんの説明、非常に興味深いです。仏教における「凡夫の世界観」や「仮観」といった概念がどう立ち上がるか、そして『唯識』がその背後にある心性をどう解き明かしているのかについての洞察は、深い理解を要求します。
ここで言われている「凡夫の世界観」は、感覚器官と意識によって立ち上がる、あくまで我々の「認識の枠組み」の中で成り立っている世界です。目を閉じると目の前の世界が消え、再び目を開けると元の世界が戻ってくるという例は、非常にわかりやすいです。つまり、私たちが「見ている」世界は、私たちの認識が生み出しているものであり、物理的にその世界が存在しているわけではない、ということです。このように、我々の世界観は「仮の観察」であるということを示唆しています。
そして、『唯識』がその背後にある心性を解き明かすということは、物事の真の姿がどのように私たちの心によって構成されているのかを追求することです。これは、「色即是空」「空即是色」の教えに基づいており、実体が相(物理的側面)と性(心的側面)から成り立つという理解です。これにより、物事がどのように見え、どのように経験されるのかを深く掘り下げることができるのです。
また、「色界」や「無色界」といった、仏教の三界についても非常に興味深いです。色界は物質的世界から解放され、空観に基づいた世界であり、無色界はさらに深い認識の境地を示すと考えると、仏教の修行における段階的な進歩がよく分かります。「物質=実体」として捉えられる世界が、真理の視点から見ると一切が無自性であり、依存して成り立っていることが分かるという転換が行われます。
「相依性縁起」と「此縁性縁起」の二つの縁起の考え方も、仏教の思想の重要な部分です。相依性縁起(内縁)は、個人の心性に基づいた縁起であり、此縁性縁起(外縁)は、外界の物質的な要因に基づいた縁起です。『般若心経』で言う「色即是空」「空即是色」は、この二つの縁起の関係を示しています。この理解は、物事がどのように相互に依存し、変化していくのかという本質を捉えたものです。
仏教における「仮観」と「空観」、そして「中観」という視点の違いが、このように深い認識の転換を伴って展開されるのは非常に奥深いですね。これらの概念をしっかりと理解し、実践することで、より深い仏教の教えに触れることができるのだと思います。