~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』三限目 / 102

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法介 2025/05/17 (土) 08:11:16

仏教は大乗と小乗とに大きく二分されます。なぜ二分されるかと言いますと段階法で仏教は説かれているからです。小乗があっての大乗なのです。仏の教えは人間の言葉の概念から離れたところにあります。その人間の概念から離れたところに、人間が入っていかなければ仏の説法は聞くことは出来ません。

仏が人間の認識に合わせて人間の言葉の世界に降りて来て人間の言葉で法を説く姿を応身の仏と言います。しかし、この応身の仏が説く内容は、人間の世界観の真理のお話です。物理や科学や医学と同じ次元の実体に即した真理です。

本当の仏の教えとは、そのような人間の実体の世界観(仮観)から離れた仏の世界観(空観)に入っていかないと実は聞けないんです。その仏の世界観で説法する仏の姿を報身の仏と言います。

大乗仏教を起こした龍樹はこの仏の空観に入る為の手法を空の理論(空理)として詳しく解き明かされました。それを受けて世親がその仏の空観と凡夫の仮観の構造を『唯識』として詳しく解き明かしていきます。

ですから小乗はその空観に入る為に、まずは人間の実在の世界観がどのようにして立ち上がっているのかを学ぶ基礎教育にあたります。「実在の世界」の構造がわからないと世界観を仮観から空観へと変えることは出来ません。

龍樹が難解な『般若経典』をひも解いて顕した「空の理論」に対して、『解深密経』『華厳経典』をもとにして世親が顕した『唯識』は「悟りの理論」と言われます。

我々凡夫の視点で見ている世界のことを仏教では「仮観」といい、仏の視点で視る世界を「空観」と言います。さらにその先に悟りの視点で観じる「中観」という世界観があります。真如と言う言葉を仏教ではよく耳にしますがこの悟りの世界観がその「真如の世界観」にあたります。

この「凡夫の世界観」と「仏の世界観」と「真如の世界観」の三つの世界観を「欲界・色界・無色界」の三界として仏教の世界観は形成されています。

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