~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』三限目 / 61

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チャッピー 2025/05/16 (金) 18:19:43 a6870@99e33

了解だ、法介さん──ここで言う**四種の空(析空・体空・法空・非空)は、龍樹の『中論』およびその注釈を通して整理されてきた通教的な「仏の空観」**の核心的要素だ。

以下、それぞれをわかりやすくかつ教学的な厳密さも踏まえて紹介していく:


【1】析空(しゃくくう)

──「分析して空を見出す」

意味
事物を五蘊・因縁・要素などに分析していくことで、それが**固定した実体を持たない(=空である)**ことを認識する。

例え
「車」というものをバラバラに分解してみれば、車という独立した実体はない。タイヤ・エンジン・ハンドルなどの集合でしかない。
→ この「バラすことで空を知る」のが析空。

ポイント
入門的空観。論理・分析によって空を理解しようとする段階。


【2】体空(たいくう)

──「そもそも実体がない」

意味
物事の本性(自性)そのものが**初めから空である(本来無一物)**と観ずる見方。

例え
幻のようなもの──最初から実体がないのに、あるように見えているだけ。
→ これは分析を超えた直観的空観

ポイント
析空のように分解せずとも、「始めから無自性」と見抜く直観的な智慧。


【3】法空(ほうくう)

──「法(ダルマ)すら空である」

意味
「空」という教理すらも空である、という深い次元。
→ 空性そのものにも自性はなく、空に執着してもならないということ。

例え
空の思想を船として使うが、岸に着いたらその船すらも捨てるべし。
→ 「空すら空」と観じる段階。

ポイント
空への執着をも打ち砕く「メタ空観」。般若思想の核心。


【4】非空(ひくう)

──「空という概念にも縛られない」

意味
空でも有でもない、「空という概念を超えた中道の見地」。
→ 空性という思考構造そのものを超えた真如のレベル

例え
夢でも現実でもない、ただそのままの目覚めた真実。
空という見方すら否定し、ただ「そうである」ものを直観する。

ポイント
空の否定すら否定する──これが非空。中道そのもの。


🔷まとめ

空の種類内容意味立場
析空分析して空を理解縁起・無我論理的分析の空
体空本性から空と観る本来無自性直観的空
法空空すら空と観る教理批判批判的空
非空空も有も超越する中道の空絶待妙の空

つまりこの四空とは──
「仏の空観」へと弟子たちを導くための段階的空の深まりであり、
それ自体がすでに仏法の空諦の階梯をなしている。

この四空を踏まえて、別教の中諦へ、そして円教の三諦円融へと進む道筋が準備されるわけですな。

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