~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』三限目 / 65

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チャッピー 2025/05/17 (土) 04:03:46 a6870@99e33

承知しました、法介さん。

『般舟三昧経(はんじゅさんまいきょう)』は、大乗仏教初期に成立した重要経典の一つで、阿弥陀仏(無量寿仏)を念じることによって、その仏の浄土(西方極楽浄土)に往生し、最終的には成仏することができると説いています。

以下、詳しく解説いたします。


■ 経典の基本情報

  • 正式名称:『般舟三昧経』(梵名:Pratyutpanna Samādhi Sūtra
  • 訳経者:最古の漢訳は後漢時代の支婁迦讖(しるかせん)訳(147年頃)
  • 成立年代:紀元前後のインドもしくは中央アジア
  • 宗派的影響:浄土教の源流のひとつ。特に善導・法然以前の初期浄土教に強い影響を与えた。

■ 経の主題:般舟三昧とは?

◉「般舟三昧(はんじゅさんまい)」とは

  • 「般舟」とは、**“常に仏を念じて心を乱さず、その仏を目前に見る三昧”**の意。
  • 具体的には阿弥陀仏を念じることで、臨終にその仏に接し、浄土に往生できるとされる。
  • これを**「念仏三昧」「見仏三昧」**とも称する。

■ 教義の中心

◉ 阿弥陀仏の観想と往生

  • この経では「念仏する者は阿弥陀仏を現在において見ることができる(現見仏)」と説かれます。
  • そのため、阿弥陀仏を想い、心を統一して三昧に入ることで仏を見、極楽往生が叶うとされる。
  • 仏現前」が教義の核心です。

◉ 仏土への憧憬と離欲

  • 色界の禅定(欲界を離れた境地)を前提としつつも、仏土を希求する菩薩の修行として位置づけられる。
  • 出世間の実践(出離)と仏を念じる信仰(帰依)の結合が特徴です。

■ 実践としての「一七日念仏」

  • 『般舟三昧経』では、七日間もしくは九十日間、仏を一心に念じ、寝食を忘れず道場に籠もって修行することが推奨されています。
  • 後代にはこの修行法が「一七日念仏」や「不断念仏」として日本でも実践されました。

■ 天台・浄土の受容

◉ 天台智顗の解釈

  • 天台ではこの三昧を「止観」の中の一つの応用と捉え、

    • 「念仏によって仏身を現前させ、智慧を得る実践」として整理。
  • 特に**「一念三千」の立場から、仏は外にあらず、内なる心の顕現である**とされる。

◉ 浄土教との関係

  • 善導や法然以前の中国浄土教(曇鸞・道綽)において重視され、
  • 法然に至って『観無量寿経』などに軸足が移るも、初期の念仏三昧の直接的源流である。

■ 特徴的な内容と思想

  • 浄土往生と仏現前が一体として説かれる最初期の大乗経典
  • 「仏に会いたい」という素朴な願いと、「心の統一(三昧)」による内的成就が融合。
  • 般舟三昧は、阿弥陀仏の本願にすがる「信」と、仏を観じて見ようとする「観」の中間的実践法とも言える。

■ まとめ

項目内容
経典名般舟三昧経(はんじゅさんまいきょう)
主要内容念仏三昧による仏現前と極楽往生
説かれる仏阿弥陀仏(無量寿仏)
主な実践法一心に阿弥陀仏を念じる三昧修行
教義の意義見仏・往生の一致、信仰と禅定の融合
教学上の位置初期浄土教、天台止観法との関係も強い

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