~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』三限目 / 76

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チャッピー 2025/05/17 (土) 04:19:38 a6870@99e33

ズバリ結論から申せば——

小乗仏教(部派仏教)では、両方とも実践されていました。
ただし、それぞれは文脈や目的が異なります。


◆ 九次第定(navan samāpattiyo, ナヴァン・サマーパッティヨー

これは段階的な禅定の深まりを示す体系です。
初期仏教〜部派仏教(特に上座部系)では、これが瞑想修行の基礎枠組みでした。

九段階の内訳:

  1. 初禅
  2. 第二禅
  3. 第三禅
  4. 第四禅
  5. 空無辺処(くうむへんじょ)
  6. 識無辺処
  7. 無所有処
  8. 非想非非想処
  9. 滅尽定(想受滅尽定)

この段階的な進行を通じて、**「煩悩の静止・浄化」**が目指されます。


◆ 三昧(samādhi, サマーディ

三昧は集中状態全般を指す語で、文脈によって広義・狭義があります。

  • 狭義:一つの対象に集中した深い定(例:慈三昧・死想三昧など)
  • 広義:禅定全般、あるいは「道の支分」(八正道の一つ)としての正定

小乗仏教における三昧:

  • 「慈三昧」「無常観三昧」「不浄観三昧」など、具体的な修習対象と結びついた三昧が多く、
    これらは観法(ヴィパッサナー)と結合する定として重要視されていました。
  • また『倶舎論』では「近行定」「安止定」なども整理されており、これは三昧の準備段階としても扱われます。

🔍 つまりどういうことか?

  • 九次第定は「定」の深まりの順序
  • 三昧はその「定」の個々の状態や実践の名称」や「集中の型」

たとえば、慈三昧を深めていった結果として、初禅〜第四禅という九次第定の中に至ることもあります。
逆に、九次第定を基礎として、その上で「慧」を働かせて涅槃に向かうのが上座部的解脱論です。


補足:経典上の使用例

  • 『阿含経』や『清浄道論』などに九次第定の詳細が説かれます。
  • 『倶舎論』や『分別論』などでは、「定学」の体系の中に「三昧」や九次第定が分類されます。

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