~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』三限目 / 83

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法介 2025/05/17 (土) 04:34:55

天台智顗は、『維摩經玄疏』で円融三諦である「通相の三観」の内容を詳しく説明しております。

今明此一心三觀亦爲三意。一明所觀不思議之境。二明能觀三觀。三明證成。(T1777_.38.0528c22~24行目まで)

「今、此の一心三観を明かすに、亦た三意と為す。一に所観の不思議の境を明かし、二に能観の三観を明かし、三に証成を明かす。」

まず、一心三観は「所観の不思議の境」と「能観の三観(能観の智)」と「証成」の三つの意味があると述べられております。

 ① 所観の境
 ② 能観の智
 ③ 証成

そして、

一明不思議之觀境者即是一念無明心因縁所生十法界以爲境也。問曰。一人具十法界。次第經無量劫。云何(T1777_.38.0528c24~26行目まで)

「一に不思議の観境を明かすとは、即ち是れ一念の無明心の因縁もて生ずる所の十法界、以て境と為すなり。」

所観の境 ①とは、一念無明の因縁より生じるところの十法界を対境とする訳ですが、ここでは十法界についての質問に答える形で「十二因縁所成の十法界」には、即空・即仮・即中の三観・三諦の理を含む無量の法がおさまっているが、三惑によって心が覆われている凡夫は、真実を見て取れないでいるといった説明がなされております。我々人間が認識している現実の世界は、凡夫の無明の一念(真理に暗い迷い心)が因となって十二因縁が生じて立ち上がった仮在の世界観であるという事です。

しかし、真理の視点(順観の此縁性縁起=実体に即した縁起)で実相を観てみると、そのモノがそのモノとなり得た因縁が観て取れ、そのモノの真実のあり様を知ることが出来ます。それが苦を滅する第一歩であると説かれています。(一仮一切仮の一念三千)

 【一仮一切仮】
 凡夫の仮観=第六意識(主観と客観)--- 亦有
 仏の仮諦=第七末那識(因果の法=此縁性縁起)--- 非空
 真理の姿=亦有亦空

有の凡夫(亦有)が五蘊を空じて「非有非無の空」を覚り、仏の非空=有の「実在における真理」を覚って有と空の亦有亦空の真理(而二不二)の世界観に入ることで、過去の因が時間経緯にともなって現在の果の姿(実体)が生じている事(此縁性縁起)を覚り得ます。仏の心(縁起)に照らされて因果の実相が顕れてくるといった所観の境はそういった時間軸の中で起こる因果の法門です。

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