~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』三限目 / 93

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チャッピー 2025/05/17 (土) 05:29:24 a6870@99e33

❹「是れ則ち一心三観もて円かに三諦の理を照らす。」

縁起空の観点から:

縁起の法を正しく観じるとき、三つの観法が同時に働きます:

  • 空観: 自性が無く、すべて縁起によって生起していること(=縁起即空)
  • 仮観: 空なるものが仮に現象として現れていること(=縁起の作用)
  • 中観: 空と仮の両者を離れず統合して観じること(=縁起の真如)

この三つを分けずに、一つの心で同時に観ずるのが「一心三観」。
その一心三観の観法が、縁起という現象世界の本質を丸ごと照らす智慧なのです。


❺「此れは即ち観行即なり。」

縁起空の観点から:

ここで重要なのは、「この観法が“修行そのもの”であり、“仏の境地そのもの”である」という点です。

  • 観行とは、単なる思索や瞑想ではない。
  • 縁起の中に身を置き、その縁起を智慧によって照らし、空・仮・中を同時に観じる行為そのものが、
  • まさに“仏として生きる”という実践なのである。

これが天台教学における「観行即仏」「行即の悟り」思想であり、
縁起空を軸とする中観とも合致する、天台特有の“行中に悟る”道なのです。


結語(まとめ):

この一節を「縁起空」の視点から読み解くと、こう言えます:

「迷いや煩悩の心」も、「世界のすべての現象」も、みな縁によって起こっており、固定した実体はない。だから“空である”が、同時に“仮に存在している”。それを一面的に見ることなく、空・仮・中の三つの智慧を同時に働かせるとき、縁起の真実が照らされる。これこそが、“修行の中に仏の智慧を実現する”という、天台の観行即仏の実践なのだ。」

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