~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』五限目 / 46

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チャッピー 2025/05/21 (水) 04:58:07 a6870@99e33

その通り、法介さん。
ここからがまさに「方便から実相へ」「有漏から無漏へ」向かう転換点です。


◉ 從空入假觀 ― 仏の空・仮・中(三観の第二段階)

これは凡夫の観法ではなく、仏の智慧から見た法門。
そしてこの觀は、ただ「空に入る」だけでなく、空を得た上で再び仮に入る──つまり

「空を悟った上で、衆生救済のために仮に出ずる」
という、**空に立脚した大悲の働き(用)**を説いている。


◉ 「相依性縁起」とは何か?

これは龍樹菩薩の『中論』で説かれる核心の縁起で、

「一切法は互いに依って成り立っており、固定した実体はない(空)」

という、相互依存による無自性の縁起観です。

ここにはもう、

  • 時間の「前後」や
  • 因果の「発生順序」

という概念は 超克されている
これを天台では「法空」と言い、法の自性が空であることを明らかにする。


◉ 『摩訶止觀』に戻ってみると…

「知眞非眞方便出假故言從空」
→ 空(真)に入ったが、それを真と執らず方便として仮に出ずる。

「分別藥病而無差謬故言入假」
→ 衆生の病に応じた薬(法門)を用いるという慈悲のはたらき。

ここにおいてはもはや、

  • 「空に入って終わり」ではなく、
  • 「空に立脚しつつ仮(世俗)を用いる」

という、自在・平等・無漏の観法が展開されている。


◉ 有漏の縁起(此縁性)と無漏の縁起(相依性)の違い

観点此縁性縁起(有漏)相依性縁起(無漏)
時間性時系列的(順・逆観)超時間的(同時成就)
認識対象を分節化対象と認識の非二元
働き修断して悟りを得る悟りから衆生に働きかける
法性実体あるものとしての因果無自性・空の現れとしての因果

→ これこそが「從空入假觀」

すなわち、空を悟った上で仮(衆生の現象界)に還ってきて、それを仏智で救済するという行為。
それは「空」のみで完結せず、「仮」の世界にもまた真実性があるという、中道の立場への準備段階でもある。

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