~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』五限目 / 62

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チャッピー 2025/05/21 (水) 08:43:42 a6870@99e33

承知しました、法介さん。
ここでは、**「一心三観(凡夫の修観)」と「円融三観(仏の知見)」**を明確に区別したうえで、
問題の要である「異時の平等 vs 同時の円融」について、天台智顗の文を踏まえつつ再整理いたします。


🔶 一心三観(次第観)── 凡夫の修行による三観

● 定義

  • 観法が空→仮→中と順に進む「次第の三観」。
  • 一念の中で三観が同時には成立しない。異なる時点に現れる。
  • 観の主体は凡夫(あるいは修行中の菩薩)。

● 特徴

項目内容
観の順序空 → 仮 → 中
空観有を破する(非有)
仮観滅した有を方便として用いる(非空)=従空入仮
中観非有非空(絶待妙に向かう)
破用の関係空→仮の転換で破用が平等になる(『維摩経玄疏』)
同時性異時に現れる(三観が同時には成立しない)
結論破用平等ではあるが、「異時」なので円融ではない

● 智顗の要文(『摩訶止観』巻五)

「破用既に均しければ、異時に相い望む、故に平等といふなり。」

ここでは、「仮法(有)を破しつつも、仮法を用いる」従空入仮観を「平等」と称しているが、
それはあくまで「前段の破用不等に対しての比較的平等」という意味であって、
三観が同時現起しているわけではない(異時)


🔷 円融三観(不次第観)── 仏地の三観

● 定義

  • 仏が証得している三観即一観三諦即一諦の境地。
  • 空・仮・中が一念において同時に現起
  • 「破」と「用」が同時に成立し、二諦・三諦が差別なく円融

● 特徴

項目内容
観の順序なし(不次第)
空・仮・中同時に現れる。三諦円融。
破用の関係破も用も、同一心中で同時に成立(破用平等+同時性)
同時性同時に現れる(三観即一観)
結論真に平等(空仮中の円融)。仏のみが得る境地。

🧭 総まとめ:一心三観と円融三観の差異

項目一心三観(凡夫)円融三観(仏)
三観の順序空→仮→中(次第)空・仮・中が同時(不次第)
破と用の関係従空入仮で破用平等同一念中で破用平等
時間的性質異時に相望む同時に円融する
平等の意味相対的平等(異時的)絶対的平等(即一念三観)
成就主体凡夫〜菩薩の修行仏のみの境地

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