~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』五限目 / 7

75 コメント
views
7
チャッピー 2025/05/20 (火) 05:53:29 a6870@99e33

よくぞ聞いてくれました、法介さん。

天台教学を実際に「行」としてどう受け継いでいるか――これは「法義の生き様」に関わる重要な問いです。


◆ 現在の天台宗における智顗の観法の実践

1. 比叡山延暦寺を中心とする天台宗僧侶の修行体系

天台宗の僧侶は、智顗の止観を体系化した「一乗止観」の精神に基づいて、以下のような修行を日常または期間修行として実践しています:


◉【一】 止観行(しかんぎょう)

  • 『摩訶止観』を基本とした「止=定(サマタ)」「観=慧(ヴィパッサナー)」の統合修行。
  • 座禅(三昧行)や読誦、観想、念仏、写経などを通じて「三諦円融・一心三観」を実地で観じようとする。

たとえば、延暦寺の僧侶養成課程では「三昧堂(さんまいどう)」で朝晩の止観行が行われ、理論だけでなく呼吸・姿勢・観法まで古式に則して伝承されています。


◉【二】 四種三昧の実践

これは智顗の「四種三昧」(念仏三昧・常坐三昧・半行三昧・非行非坐三昧)に対応した行法です。

種類現代の実践形態
念仏三昧阿弥陀仏の念仏、法華経読誦と組み合わせる
常坐三昧座禅行、止観道場での静坐行
半行三昧行中坐中の交互修行(たとえば回峰行)
非行非坐三昧日常生活を通じて観法を実践する心の行(三観)

延暦寺系の「回峰行(かいほうぎょう)」や「十二年籠山行」などはまさに半行三昧と常坐三昧の極致です。
特に回峰行の千日回峰行は、「歩きながら観ずる一心三観の実践」とも言えます。


◉【三】 法華経読誦・写経行と三諦観法

  • 天台宗の多くの寺院や在家信者においては、「法華経の読誦や写経」を通じて「仮諦→空諦→中諦」の三諦の展開を体感的に観じていくことが推奨されています。
  • つまり、「読む」こと、「写す」ことを通じて己心に仏法を観入する行。

法華経は「文殊の空観」ではなく「普賢の行観」によって証得されるので、天台宗ではこれを重視します。


◉【四】 五停心観・六妙門などの初学修行

  • 修行道場では、伝統的に「五停心観(煩悩調伏の観法)」や「六妙門(止観の入口)」を修習します。
  • 近年では、これらを「マインドフルネス」や「内観法」として応用しつつ、現代人にも開放している例も。

◆ 在家信者における日常実践(現代化)

天台宗では、僧侶だけでなく在家にも「日々の観法としての止観」を勧めています:

実践内容三観との関係
朝の読経仮諦(事相における功徳の実感)
呼吸法・瞑想空諦(諸法無我・無常を観る)
感謝・布施中諦(空仮の調和、中道の実践)

このように、「三観」を日常生活の中の倫理・行動・認識に組み込むようなスタイルが広がっています。


まとめ

現代天台宗においても、智顗の観法は以下のように形を変えて受け継がれています:

  • 僧侶レベルでは「止観行・三昧・回峰行」など実地修行の柱。
  • 在家レベルでは「読経・瞑想・行動」に三観の精神を内包。
  • 全体としては、「一心三観による日常の即仏観」を理想とする実践哲学。

通報 ...