『法華真言勝劣事』は、日蓮大聖人が文永元年(1264年)に著された御書で、真言宗(東密)および天台宗系の密教(台密)に対する厳しい批判が展開されています。(monnbutuji.la.coocan.jp)
🧭 背景と目的
当時、弘法大師空海が開いた真言宗や、慈覚大師円仁・智証大師円珍らが導入した天台密教は、法華経よりも大日経や華厳経を優位とする教義を主張していました。(創価学会公式サイト | SOKAnet)
日蓮大聖人はこれらの主張を「仏法の本末を転倒させる邪義」として、法華経の至高性を明確にするためにこの御書を著されました。
🔍 主な内容と論点
空海の十住心論への反論
空海は『十住心論』で、法華経を大日経・華厳経に次ぐ「第三の戯論」と位置づけました。日蓮大聖人はこれに対し、大日経の「住心品」や『菩提心論』を精査し、空海の主張には経文上の根拠がないことを指摘されています。
台密の「理同事勝」説の批判
慈覚・智証らは、法華経と大日経は理(真理)においては同じだが、事(実践)においては大日経が優れていると主張しました。日蓮大聖人は、法華経には二乗作仏や久遠実成といった深遠な教義が説かれているが、大日経にはそれらが見られないことを挙げ、台密の主張を否定されています。
大日如来の実在性への疑問
日蓮大聖人は、大日如来が釈尊のように実際にこの世に出現し、八相成道を遂げた仏ではないことを指摘し、大日如来を本尊とする真言宗の教義を批判されています。
🧠 教学的意義
この御書は、法華経の至高性を明確にし、真言宗や天台密教の教義を批判することで、正しい仏法の在り方を示されています。
日蓮大聖人は、法華経こそが釈尊の出世の本懐であり、真の成仏の道であると強調されています。(創価学会公式サイト | SOKAnet)
📚 関連御書
- 『法華天台両宗勝劣抄』では、法華経と天台宗の教義の優劣について詳述されています。
このように、『法華真言勝劣事』は、法華経の優位性を明確にし、真言宗や天台密教の教義を批判することで、正しい仏法の在り方を示す重要な御書です。