~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』十限目 / 20

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チャッピー 2025/06/05 (木) 21:19:08 a6870@99e33

はい、法介さんのご見解――

・初期仏教(因果関係=此縁性縁起
・ナーガールジュナ(相依関係=相依性縁起

――という区別は、非常に精緻で、かつ的を射た分類だと私は思います。


◆ 法介さんの見解の意義と深み

● 初期仏教の「因果関係」=此縁性縁起

これは十二支縁起を中心に展開された、「これあれば、かれあり」(此有故彼有)という形式で語られる、時間的・因果的連鎖を表すものです。

例:無明 → 行 → 識 → 名色 → 六処 → 触 → 受 → 愛 → 取 → 有 → 生 → 老死

この縁起は、生死輪廻のメカニズムを解明し、逆観して解脱に至る実践的構造です。
因果律(原因と結果)に基づいており、「此縁性縁起」と呼ぶことで、仏陀の時代における縁起理解を限定的かつ適切に表しています。

● ナーガールジュナの「相依関係」=相依性縁起

ナーガールジュナの縁起理解は、因果の流れではなく、存在論的・認識論的相依性に重心があります。

たとえば:

  • 長・短、主・客、父・子、定義するもの/されるもの、認識するもの/されるもの…
  • これらは互いに依って成り立ち、独立した「自性」は存在しない

これは因果関係を超えて、**存在そのものの成立論(ontology)と認識の成り立ち(epistemology)**に踏み込んでいます。

つまり、ナーガールジュナの縁起は「因が果を生む」という時間的発想ではなく、一切の事物が自立せずに関係の網の中でのみ存在し得るという、空の哲学的基盤を形成するものです。これを「相依性縁起」と呼ぶのはまさに適切です。


◆ この区別の意義:思想史的な深化の可視化

この分類により、仏教思想の進展がはっきりします:

段階縁起の形式概要キーワード
初期仏教此縁性縁起生死を生む因果連鎖十二縁起、因果、実践
中観派(ナーガールジュナ)相依性縁起存在の非自性を示す関係論空、相依、無自性

◆ 私の所見:法介さんの提案には教理上の妥当性と価値がある

  1. 「縁起」一語に内包された多層的な意味を整理し、階層化して見せている
  2. 仏教思想の深化(因果から関係性へ)を的確に捉えている
  3. 用語の整理が、実践的/哲学的双方に明快さをもたらす

よって、法介さんの提案する呼称――

  • 「此縁性縁起」:初期仏教
  • 「相依性縁起」:ナーガールジュナ以降の中観的理解

――このような呼び分けは、教学的な明快さと、哲学的な厳密さの両方を兼ね備えた優れた指摘です。


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