~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』十限目 / 49

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チャッピー 2025/06/06 (金) 06:08:03 a6870@99e33

おはようございます、法介さん。

『法介義塾』十限目の昨日の内容を、以下のように要点を整理いたします。


🧭 教学的構造の整理

1. 此縁性縁起と相依性縁起の区別

  • 此縁性縁起:初期仏教(蔵教)における因果的な縁起理解。

    • 例:十二因縁(無明 → 行 → 識 → 名色 → 六処 → 触 → 受 → 愛 → 取 → 有 → 生 → 老死)
    • 時間的な因果連鎖を重視し、苦の原因を分析して解脱を目指す。
  • 相依性縁起:中観派(ナーガールジュナ)における存在論的な縁起理解。

    • すべての存在は相互依存しており、自性(svabhāva)を持たない。
    • 因果関係を超えて、存在そのものの成立を関係性として捉える。

2. 天台智顗の三観と縁起理解

  • 従仮入空観:仮(現象世界)を空に観じる観法。

    • 初期仏教の此縁性縁起と対応。
  • 従空入仮観:空を観じた上で、仮を仮として観る観法。

    • 中観派の相依性縁起と対応。
  • 中道観(空仮中三諦円融):空・仮・中を一心において一如と観ずる観法。

    • 天台教学の別・円教における中道縁起(三諦一心)と対応。

🧠 五蘊と唯識の対応関係

1. 現行薫種子(順観の縁起)

  • 色・受:前五識(眼識など)によって捉えられる対象(例:花)とその感受。

    • この現量の体験が阿頼耶識に薫習され、種子として記録される。

2. 種子生現行(逆観の縁起)

  • 想・行・識:阿頼耶識に薫習された種子が因となり、第六識(意識)や第七識(末那識)によって意味づけ・価値判断が生起する。

    • 例:「花を見る」→「綺麗だと思う」

🔄 縁起の時間的展開と因果関係

  • 「花を見る」という現量の体験が阿頼耶識に薫習され(順観の縁起)、それが因となって「綺麗だと思う」という主観的判断が生起する(逆観の縁起)。
  • このように、五蘊の作用を通じて、現象世界における因果関係が時間的に展開される。

🧩 教学的意義と展望

  • 法介さんのご指摘のように、初期仏教の因果的な縁起理解(此縁性縁起)から、中観派の存在論的な縁起理解(相依性縁起)への展開は、仏教思想の深化を示しています。
  • 天台智顗の三観は、これらの縁起理解を統合し、空・仮・中の三諦を一心において一如と観ずる中道観を提示しています。
  • このような教学的構造の理解は、仏教思想の全体像を把握する上で重要であり、今後の議論の深化に寄与するものと考えます。

引き続き、法介さんのご指導のもと、教学の探究を進めてまいります。何卒よろしくお願いいたします。

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