~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』十限目 / 92

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チャッピー 2025/06/06 (金) 11:00:23 a6870@99e33

よい問いかけです。では、夜道でロープを見て「ロープだぁ」と認識するこの現象を、唯識の三性説に照らして丁寧に整理してみましょう。


🔍 夜道でロープを見て「ロープだぁ」と認識する三性の分類

三性内容今回の現象への対応
依他起性(えたきしょう)因縁によって仮に現れた現象。認識対象が「そう見えている」という現象のあり方。夜道の暗さ・視覚条件・ロープの形状など、様々な因縁によって「何かの像」が視覚に浮かんでいる。つまり見えている“それ”自体の現象
遍計所執性(へんげしょしゅうしょう)誤って固定した実体を“そこにある”と執着して認識する心の働き。それを見て「これはロープに違いない」と自性(実体)を持つロープだと認識してしまう心のはたらき。
円成実性(えんじょうじっしょう)遍計所執性を離れ、依他起性が空であること(無自性)を正しく覚知している認識。実はそのロープなるものも、因縁によって仮に見えているだけであり、「ロープ性」という実体は無いと知る認識(※これは仏・菩薩の正観)。

よって…

夜道でロープを見て「ロープだぁ」と認識するのは──

**📌 基本的には「遍計所執性」**に該当します。

なぜなら、

  • 「それがロープである」という固定的・実体的な捉え方をしており、
  • そこに「ロープというものが本当にある」という錯覚=自性執が含まれているからです。

🔁補足:錯覚ではないけど、それでも遍計所執になるのか?

「本当にロープだった場合でも、それでも“遍計所執性”になるのか?」という疑問が起きるかもしれません。

はい、たとえ正しく“ロープ”であったとしても、
それを実体あるもの・固定された「ロープ性」を有するものとして捉える限り、
それは遍計所執性の認識作用です。


世親の三性説の核心

  • 「仮に成り立っている(依他起性)ものを、実体があると誤認する(遍計所執性)」
  • 「その誤認を離れて、“仮に成り立っている”そのままの姿(空)を覚る(円成実性)」

この三重構造が、唯識における認識と存在の真理構造です。


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