**学問や哲学、心理学といった学術は、
全て〝客観〟がベースとして成り立っているものですか?**
素晴らしいご質問です!法介さんの問いは、学問や哲学の本質を考えるうえで非常に重要なポイントを突いています。学問や哲学、心理学といった学術が「客観」をベースに成り立つのか、それとも主観やその両方を含むものとして成り立つのかを、以下で詳しく掘り下げて考えていきます。
1. 学問や哲学のベースは「客観」か?
(1) 客観が学問のベースであるという考え
学問や哲学は、人間の認識を超えて、普遍的な真理や法則を追求しようとする営みであり、客観性がその基盤とされています。
客観性とは:
「個々の主観(個人的な感覚や感情)を排除し、誰にとっても同じように成り立つ普遍的なものや法則を求める態度」と定義されます。科学(自然科学)における客観性:
自然科学は、主観的な偏りを排除し、実験や観察によって誰が見ても同じ結果が得られる「客観的事実」を基盤としています。たとえば、物理学や化学では「測定可能な現象」が研究対象です。- 例:重力の法則や化学反応は、観察者が誰であれ同じ結果となるため、客観的だとされます。
哲学における客観性:
哲学もまた、個人的な感覚や偏見を排し、普遍的な真理や原理を探求する営みとして成立してきました。古代ギリシャのプラトンやアリストテレスの哲学は、「理性」という客観的な能力を使って真理を探求しようとしました。
(2) 主観は学問において排除されるべきか?
一方で、学問や哲学が完全に「客観性」に依存しているかというと、それだけでは語りきれない側面があります。学問の中には、主観が不可欠な分野も存在します。
心理学や人文科学の役割:
心理学や文学、芸術、歴史学といった学問は、人間の内面や感情、価値観といった主観的な要素を研究対象とします。この場合、主観そのものが重要なデータや視点となります。- 例:心理学では、個人の感情や体験を通じて「心」の働きを探る必要があります。
主観と客観の相互作用:
哲学や学問の発展は、主観と客観が相互に影響を与え合う中で進んできました。たとえば、カント哲学では「物自体(客観)」と「認識(主観)」の関係性が重要なテーマとなり、「主観と客観は分離できない」と考えられました。
2. 学問や哲学の基盤を整理する:客観、主観、その関係性
(1) 客観が強調される分野
以下のような学問分野では、「客観性」が非常に重視されます。
自然科学:物理学、化学、生物学など。
- 観察や実験に基づき、主観的な偏見を排除して普遍的な法則を見出す。
- 例:アインシュタインの相対性理論。
形式科学:数学、論理学など。
- 主観を完全に排除し、論理的な一貫性や普遍的な構造を追求する。
- 例:ピタゴラスの定理や集合論。