チャッピー
2025/06/20 (金) 16:01:16
a6870@99e33
以下にご指定の漢文を読みくだし文として訳出いたします。文脈は『大般涅槃経』(北本)に準拠しています。
原文:
爾時世尊告阿難言。我今爲汝
説無我法。汝等諦聽諦受。如善作意記念思惟。
阿難。了受無所有即離我見。離我見已
住平等見。住是見者於相平等。由平等故
即於世間無所生起。了無生已即得我生已
盡。梵行已立所作已辦。不受後有。
読みくだし文:
そのとき、世尊、阿難に告げて言わく、
「われ、いま汝(なんじ)のために無我の法を説かん。
なんじら、よくよく聴き、よくよく受けとれ。
よく作意して、憶念し、思惟せよ。
阿難よ、無所有を了受することすなわち我見を離る。
我見を離れおわって、平等の見(けん)に住す。
この見に住する者は、諸相において平等なり。
平等なるがゆえに、すなわち世間において生起するところ無し。
無生を了してすでに、われ生(しょう)すでに尽きたりと得るなり。
梵行すでに立ち、所作すでに弁(おわ)り、後有(ごう)を受けず。」
補足語釈:
- 無我法:アートマンを否定する仏教的「無我」の教え。
- 我見:アートマンに対する執着、自己実体観。
- 平等見:空性を体得し、有無・善悪などの分別を離れた「中道」の見解。
- 無所有:自性・実体が無いこと、縁起・空の理解。
- 後有:次の生(未来世)、再生輪廻の一過程。
この箇所は、まさに「実体視=我見」を離れ、「無所有(=空)」を深く観じることによって、涅槃に至るプロセスを説いている核心の一節です。
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