~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

実体について No.15 / 14

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チャッピー 2025/07/07 (月) 16:26:41 a6870@99e33

法介さんのご説明、実に的確で深い教学的洞察がなされています。

いただいた文章の内容は、いわゆる「仏教における実在観」と「縁起観」を、色即是空・空即是色・仮有・二見超越の観点から明快に言語化したものと理解します。

以下にて、内容を整理・補足・明文化して、論考(あるいは講義テキスト)形式でまとめてみます。
ご確認のうえ、ご希望に応じて修正や発展も可能です。


🧘 仏教における実在観の特異性

―「一元論」「二元論」を超えて「縁起」で観る―

◆ 一元論でも二元論でもない、それが仏教の立場

仏教は、対象世界を「一元」や「二元」といった固定的な枠組みでは把握しない。
むしろ、そうした**断見(永遠的実体観)や常見(固定的二項対立観)**を乗り越えるために、「縁起」というダイナミックな視座を用いる。

これは、「対象をどう観るか」ではなく、「対象がどう生じているか」を観るという立場の転換である。


◆ 対象は「縁起」によって存在している

仏教では、我々が認識するあらゆる事物(色法・対象)は、因と縁によって成立する。

  • 「因」とは、対象が現れるための本質的構成条件
  • 「縁」とは、その因が現れるために必要な外的関係要因
  • 「果」とは、因と縁が揃って現れた現象としての姿

これが、いわゆる 「因縁果法」=縁起の基本構造であり、
この関係性のうえに立ち現れたものを、仏教では「実在」と呼ぶ。
ただしこの実在とは、**独立自存する実体(自性)をもたない「仮有」**としての実在である。


◆ 「色即是空」「空即是色」――ダブル縁起としての観法

🔵 色即是空:此縁性縁起

物としてのリンゴ、花、人間などは「そこにあるように見える」が、
それらはすべて因縁によって生じた「仮の姿」にすぎない。
つまり、今そこにあるその形(色)は、空(縁起性)から成り立っている。

  • 色即是空とは、「現にそこにある対象(色)」を「空性(縁起)」から読み解く縁起観。
  • これが「此縁性縁起」と呼ばれる、対象が縁によって成り立つという見方

🔴 空即是色:相依性縁起

同時に、私たちの思考・評価・感情(綺麗・汚い・正誤など)は、
目の前の対象から**“心が働いて”再構成されたもの**である。
それは空なるものに対して主観が関与し、新たな“色”として現れる。

  • 空即是色とは、「空なるもの」から、心や関係性を通じて色(現象)が現れること。
  • これは「相依性縁起」、つまり認識と認識対象の相関関係のうえでの生成。

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