三種の不の最初の「不生不滅」──これは析空(しゃっくう)にあたります。
よくある誤解として、この句をもって
「仏は永遠不滅である」といった解釈がなされることがあります。
しかし、『般若心経』がここで説いているのは、そうした実体的な永遠性のことではありません。
たとえば、「テーブル」というモノを考えてみましょう。
テーブルは、天板と脚などの部品が組み合わさってできています。
その部品をバラバラにすれば、テーブルという形(色)は消えますが、
部品そのものは消滅していません。
つまり、何かが生まれたわけでも、滅びたわけでもないのです。
因縁が和合すれば「テーブル」という姿が顕れ、因縁が離れればその姿が消える。
このように、「生じた」「滅した」と見るのは、私たちの主観による捉え方であり、
実際には、何も本質的には生じても滅してもいない──これが「析空」の見方です。
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