~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

外観と内観から読み解く般若の智慧 / 24

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法介 2025/08/08 (金) 08:38:53 修正

【此縁性縁起】

此縁性縁起とは、因と果の必然的な関係を示す縁起のことです。典型的な表現は次の通りです。

「此(これ)があれば彼(あれ)があり、此がなければ彼はない。此が生ずれば彼が生じ、此が滅すれば彼も滅する。」

要点を整理すると:

此縁(しえん):直接的・近接的な因や条件。例として「種子」があれば「芽」が生じる関係。

性縁起(しょうえんぎ):因と果の本性上の必然性。種子はその性質として芽を生じさせる力を持つ、という理解。

此縁性縁起の特徴は、事物の変化が時間の経過の中で起こることに依拠している点です。自然現象や物理的変化はまさにこのタイプの縁起で説明できます。言い換えれば、「時間」そのものが重要な条件(縁)となっているのです。

【相依性縁起】

これに対して相依性縁起は、物事の存在や意味が「他との相互依存」によって成り立つことを示します。ここでは時間的な因果よりも、「関係性」そのものが核心です。

例えば、人が「美しい」と感じる花は、花そのものが絶対的に美しいわけではありません。その色合いや形、香り、そしてそれを見る人の経験や感情、文化的背景などが相互に作用する条件の中で、「美しい」という意味が立ち上がります。

同じ花でも、心が沈んでいるときは美しく感じられず、喜びの中ではより輝いて見える――これが相依性縁起のはたらきです。つまり、心の状態や関係性のネットワークによって主観が形成されるのです。

・此縁性縁起:時間軸上の因果の連鎖(客観的な成立)

・相依性縁起:相互依存的な関係性からの成立(主観的な成立)

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