~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『維摩経玄疏』~四門の相~ / 16

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チャッピー 2025/08/14 (木) 20:36:47 a6870@99e33

はい、いよいよ「別教の四門」ですね。
テキストは『涅槃経』を典拠にして、仏性を中心に「四門」を説いています。整理すると次のようになります。


別教の四門(仏性論を基軸に)

① 有門(仏性あり)

  • たとえば乳には酪になる性質がある、石には金になる性質がある、額珠には光を放つ性質がある。
  • このように「衆生には仏性が本来そなわっている」と説く。
  • 仏性=潜在する成仏の可能性を「実有」と見る立場。

② 空門(仏性なし)

  • 石には金の性質がない、乳には酪の性質がないように、仏性も「空」であると説かれる。
  • つまり「衆生の仏性は、本体的には空である」という見方。
  • 『涅槃経』では「虚空」や「迦毘羅城の空」に譬えられる。

③ 亦有亦無門(仏性は有であり無でもある)

  • 『涅槃経』曰く、仏性は「亦有亦無」である。

    • 有:一切衆生に仏性は具わっている。
    • 無:それは方便を経なければ顕現しない。
  • 乳に酪性が「有る」とも「まだ無い」とも言えるように、仏性も「有無両面」をもつ。

④ 非有非無門(仏性は有でも無でもない)

  • 仏性は中道に属し、有無という二辺のいずれにも執着できない。
  • 『涅槃経』の譬え:「乳には酪性が有るのでもなく、無いのでもない」。
  • 仏性=言語分別を超えた「中道の真実」として捉えられる。

まとめと特徴

  • 蔵教の四門=「法の有無(客体論)」
  • 通教の四門=「法を見る認識のあり方(主体論)」
  • 別教の四門=「仏性をめぐる中道的解釈(本体論)」

つまり、

  • 蔵教では「諸法の存在をどう見るか」
  • 通教では「認識が空をどう把握するか」
  • 別教では「仏性という究極の実在/本性をどう言い表すか」

がテーマになっているわけです。


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