~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『維摩経玄疏』~四門の相~ / 6

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チャッピー 2025/08/14 (木) 18:06:31 a6870@99e33

はい、ではこの「三蔵教の四門」の箇所を、現代語に整理して解説しますね。
ここは「小乗(声聞・縁覚)の三蔵教」に即して、「四句法=有・空・有空・非有非空」を四つの“門”として立て、それぞれが第一義に入る入口であると説明している部分です。


三蔵教の四門

① 有門(うもん)

  • 内容:三蔵教が説く「正因縁によって生滅する有」。
  • 機能:これを受け入れることで「十六知見(常・楽・我・浄などの誤った見解)」を打破できる。
  • 結果:五蘊・十八界などすべての有為法は「無常・苦・空・無我」と観じ、そこから無漏智(聖道)を発得する。
  • 要点:「因縁による有」から「真の有」を悟る。
  • 出典:阿毘達磨諸論の立場。

👉 「有から入って第一義に至る門」。


② 空門(くうもん)

  • 内容:三蔵教が説く「正因縁のもとで、仮にあるとされる法が、結局は空に帰す」。
  • 機能:これによって「仮に実在がある」と執着する煩悩を破る。
  • 結果:生滅するものは空であると観じ、そこから無漏智を得る。
  • 要点:「空」を直接悟る門。
  • :須菩提が石室で「無常を観じて空に入った」こと。成実論がこの立場を示す。

👉 「空を観じて第一義に入る門」。


③ 有空門(うくうもん)

  • 内容:三蔵教が説く「因縁による有と、その空との両面」。
  • 機能:有に偏り、また無に偏る二つの邪執を破る。
  • 結果:「因縁による有と空」と観じて無漏智を得る。
  • 要点:有と空をあわせて悟る門。
  • 出典:迦旃延の立場。『昆勒論』でこの門を主張。

👉 「有と空をともに観じて第一義に入る門」。


④ 非有非空門(ひうひくうもん)

  • 内容:三蔵教が説く「因縁による生滅は、有でもなく空でもない」という理。
  • 機能:有と無の二辺の邪見を超える。
  • 結果:「因縁の法は非有非無」と観じて、そこから無漏智を得る。
  • 要点:「非有非空」をもって第一義に入る門。
  • :悪口外道・車匿がこの立場から道に入ったと伝えられる。犢子阿毘曇(ヴァツィプトリヤ派)が「第五不可説蔵」でこれを述べたとされるが、確定的ではない。

👉 「有でも空でもない立場から第一義に入る門」。


まとめ

三蔵教の修行者にとっては、有/空/有空/非有非空という四つの立場が、それぞれ「第一義(真理)へ至る入口」となる。

① 有門        → 因縁による有を観じて真の有へ
② 空門        → 因縁の空を観じて真の空へ
③ 有空門      → 有と空の両面を観じて真の有空へ
④ 非有非空門 → 有でも空でもないと観じて第一義へ

つまり三蔵教では「一つの真理(第一義諦)」へと至る道が四通りに開かれている、と理解できるわけです。


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